中日球団OBと接する機会があった。彼が気にしたのは中日投手陣の守備力への不安だった。

「大野雄投手が24日の阪神戦(甲子園)で投げたときに、昨年までなら捕れていたり、グラブに当てていたような打球をセンターに抜かれていた」。

守備巧者の左腕は、投内連携では、一塁ゴロから投手へ渡される打球を処理して、つま先でベースをタッチする絶妙な技術も持つ。投手強襲の打球も処理してきた守備の達人だ。

昨秋、就任した立浪監督は失点を減らすためにセンターラインの強化を掲げた。一般的に、捕手、二遊間、中堅の守備力強化と取られているが、投手もセンターラインの一角。打席では9番目の打者だが、守備でも野手の1人として期待は高い。

5月21日広島戦から登板するようになり、6月中旬に投手登録に変更された根尾昂投手(22)もその1人になった。1日の阪神戦では初めてリードしている場面で登板し、初ホールドをゲット。翌2日も初連投した。6月15日に投手練習に初合流した根尾は、「投内連携の1つ1つの動作が新鮮でした」とコメント。プロの投手としての1歩目に感じたのは「守備」の違いだった。

大阪桐蔭時代に投打二刀流として注目された。今回の守備位置変更では二刀流より、投手重視で臨んでいる。初ホールドをゲットし、翌2日には初の連投にも挑戦した。2点ビハインドの場面で連投した根尾は1回1失点。立浪監督は「ピンチなどを経験して大きくなってもらいたい」と背中を押す。

甲子園春夏連覇を達成した大阪桐蔭時代に注目されたのは投打二刀流。投手にシフトした根尾だが、プロ4年間では遊撃手としての守備力強化も力を入れてきた。根尾の魅力は最速152キロや、野手で培った打撃だけでなく守備もある。センターライン強化を掲げる立浪竜投手陣での、根尾のディフェンス面での活躍も注目したい。【中日担当・伊東大介】

阪神対中日 3回裏阪神1死二塁、暴投した大野は髪の毛を振り乱して悔しがる(撮影・上田博志)
阪神対中日 3回裏阪神1死二塁、暴投した大野は髪の毛を振り乱して悔しがる(撮影・上田博志)