新井新体制で迎える来季の広島でただ1人、ポジションが確約されている選手がいる。抑えの栗林良吏投手(26)だ。監督就任会見で、新指揮官は「先発投手から栗林につなぐまでをしっかりと整備しないといけない」と明言した。当然といえば、当然である。セーブシチュエーションで失敗なしの1年目から、今季も48試合で0勝2敗6ホールド31セーブ、防御率1.49の好成績をマーク。新人から2年連続30セーブはDeNA山崎以来、史上2人目の記録だった。

開幕前まで散々言われてきた“2年目のジンクス”という言葉を、自ら振り払った。登板3試合目にプロ初のセーブ失敗して防御率は11.57まで悪化したが、そこから14試合連続無失点。見事に立て直した。セーブ数や防御率は1年目を上回ることができなかったが、打者1人に対する平均球数は4.2球から3.9球に減少。与四球は28個から15個に減り、被本塁打は昨季の1本からゼロとなった。

それでも、自己評価は厳しい。「納得のいくシーズンではなかった。シーズン序盤とシーズン最後の大事な試合で自分が負け投手になったから、結果的に5位という成績に終わってしまった」。チームを背負う自覚が増している。栗林に“2年目のジンクス”も、3年目へのおごりもない。追うべき背中があるからだ。「森下の背中を追って、ここまで来た。森下は1年目から3年目まで毎年活躍している。今季も、3年目の活躍を見ているので負けないように頑張りたい」。

球団最速で4年目の来季年俸が1億円の大台を突破した森下が先日、「来年、栗林さんが(大台に)いくので、栗林さんに聞いてください」と発し、栗林は後日「そこをまず超えられるように頑張りたい」と返した。絶対的守護神を見据える来季も、求めるものはおのずと高くなる。【広島担当 前原淳】