珍しいシーンがあった。28日のDeNA戦(横浜)の試合前練習。岡田彰布監督(66)がゆっくりと外野へ向かった。中堅フェンス沿いで話しかけたのは、桐敷拓馬投手(25)と石井大智投手(27)だった。2人は直立不動。3分ほどだったか。直接メッセージを受け取った。コーチを介して選手に指示を与えることが多い岡田監督が、自ら動いた。

一夜明けた29日。新横浜駅で帰阪前の桐敷が明かしてくれた。「説教とかじゃないですよ」と笑いつつ「簡単に言えば、もっと攻めていけ、と。球は悪くないんだから、もっと強気にいけ、と言われました」と回想した。

桐敷は両リーグトップの56試合に登板。石井はシーズン序盤に不調による離脱があったが、41試合に登板している。疲労がないわけがない。それでも岡田監督は「球は悪くない」と背中を押した。桐敷と石井には、なんとしても投げ続けてもらわないと困る。期待を込めてのメッセージと捉えることができる。

監督にゲキをもらったからといって、良いピッチングができるわけではないと思う。それでも、精神力の部分では違うのではないか。シーズン終盤の一番キツいタイミングでの声かけだからこそだ。

桐敷は「ちゃんと腕を振って投げろってところですかね。変化球も、もちろん真っすぐも」と指揮官の言葉をかみくだく。「監督から直接は初めて」というアドバイス。石井とも話し、自分たちに落とし込もうと努めた。

「場面や状況にもよると思いますけど、内気になったらダメだと思う。攻める気持ちは必要なので」。岡田監督に説かれた攻めの気持ち。精神論が全てではないが、気迫あふれる両腕のピッチングは、勝利につながると信じたい。【阪神担当 中野椋】