4月11日巨人戦(マツダスタジアム)。7得点を奪った打者一巡の攻撃を終えたばかりの5回だ。無死二塁で、この日スタメンマスクをかぶった広島会沢翼捕手(36)はタイムをかけ、“間”を取った。マウンドに歩み寄ると、4回まで3安打2失点の森下ではなく、内野陣に語りかけた。
「自分たちが7得点したということは、相手も7点取ることだってある。もう1度、引き締めて行こう」
直前、先頭泉口の二塁ベース右への当たりに、二塁ベース寄りに守備シフトを敷いていた遊撃矢野が追いついた。タイミングは微妙。さらに右手への握り替えがうまくいかなったことで、より厳しくなった。それでも矢野は一塁に送るも、それた白球が一塁ベンチ横へ転がり、打者走者は二塁進塁。昨季ゴールデングラブ賞受賞の矢野自身「投げなくても良かった」と反省する。
無死二塁。得点圏に進んだとはいえ、広島のリードは大量8点に広がっていた。この日の森下の調子を見れば、気にするほどの走者でもないと感じられた。それでも相手は昨季王者、巨人。現状では広島と選手層やチームの完成度では差がある。今季は試合前まで11試合で44得点を挙げ、リーグ最多9本塁打の強打を誇る。追い上げムードが高まれば流れが変わる可能性も出てくる。何より、広島の1イニング7得点も相手の失策が絡んだものだった。
捕手として万全を期す“間”だった。ベンチで戦況を見守った藤井ヘッドコーチは「おっ早いなと。でもマスクをかぶっていて、アツは何か感じたんだろう。さすがだなと」とベテランの嗅覚に思わずうなった。
打者一巡の攻撃に、投手交代までマウンド上で円陣ができなかった4回裏とは対照的な早さだった。動かなった巨人ベンチにも何か意図があるように、すぐに動いた会沢にも明確な意図があった。【広島担当=前原淳】




