キャンプも後半戦に入り、いよいよ各球団の対外試合も本格化します。日刊スポーツ評論家の宮本慎也氏(51)は、ここまで視察した球団の中から気になる選手として、ヤクルト内山壮真捕手(19)を挙げました。

ディフェンディングチャンピオンのヤクルトにとって一番の懸念材料は「油断」だろう。私自身、身をもって経験しているが、日本一を達成した戦力だけに、どうしても新戦力が台頭しにくく、それが「慢心」となって「油断」につながるケースが多い。そんな不安解消の願いを込めて、高卒2年目を迎える内山壮に期待している。

内山壮真(2022年2月11日撮影)
内山壮真(2022年2月11日撮影)

小柄な選手で、ポジションは経験が必要なキャッチャー。正捕手として活躍するのは「まだまだ先」と考えるのが妥当だろう。しかし、グラウンドでの何げない振る舞いや、「体は大きくなってるか?」といったありきたりな質問に対しての受け答えも、しっかりしている。話してみても頭の回転も早そうだし、勝負勘の良さを連想させる。捕手として欠かせない資質を持っている。

打撃センスは文句なし。フリー打撃の打球を見ても、こちらが予想した飛距離を常に上回っている。これはバットのヘッドの効かせ方がうまいから。教えても、簡単にはできないセンスだと言っていい。

内山壮真(2022年2月11日撮影)
内山壮真(2022年2月11日撮影)

ヤクルトの正捕手には、成長した中村がいる。正直、内山壮との力量差はまだまだある。試合経験を積ませたい思いもあるし、1軍での起用は難しくなるだろう。一方で素質のあるフレッシュな若手の存在は、チームに活力を生む。連覇を狙うチームにとって、刺激的な“スパイス”となって貢献してもらいたい。

◆内山壮真(うちやま・そうま)2002年(平14)6月30日、富山県生まれ。星稜では1年春からベンチ入りし、遊撃でレギュラー。甲子園には春夏通算3度出場し、2年夏は準V。20年ドラフト3位でヤクルト入団。21年4月8日広島戦で初出場。同年のフレッシュ球宴では先制弾を放ちMVP。今季推定年俸600万円。171センチ、71キロ。右投げ右打ち。