私の理想だけでなく、強化試合を見ての予想を加味しての選考とした。現時点でメジャー1年目となる可能性がある選手(千賀、吉田正、山崎康ら)は、実力や実績があっても選考から外した。まずはスプリングトレーニングでチームに溶け込むことが大事。そこを考慮した。メジャー組では、前田も手術明けとなるために外した。

佐々木氏が選ぶ侍ジャパンのスタメン
佐々木氏が選ぶ侍ジャパンのスタメン

先発投手陣は、エースは山本とダルビッシュの2枚看板になる。ダルビッシュはチーム状況との兼ね合いもあるが、ずばぬけた実績と願望も込めてメンバーに入れた。ギリギリの勝負となる渡米後の準決勝、決勝は2人に任せられる。他に今永と佐々木朗が候補だ。球数制限があるため、第2先発、ロングリリーフの候補として戸郷、伊藤にした。

救援は抑えを大谷とした。今年はコントロールの心配がなくなった。四球で自滅するようなことはない。安定感がある。DHならブルペンで準備もできる。8回は松井、平良。大勢、湯浅、宇田川、山崎颯ら、直球で押せるパワーと落ちる球を兼ね備える投手を中心に選んだ。国際大会での実績よりも、現時点での勢いを重視した。パワーピッチャーをそろえれば、救援に左右のバランスは必要ない。

野手は複数ポジションを守れることや守備力を重視した。このため捕手は経験豊富な甲斐と中村の2人にした。いざとなれば近藤も守れるだろう。守備範囲の広い源田は、内野守備の要として欠かせない。一方で坂本のキャプテンシーもチームには必要だ。牧と浅村、山田は一塁と二塁、村上も一塁と三塁を守れる。二遊間には中野が控える。外野は近本、柳田、鈴木誠がそろえば鉄壁だろう。短期決戦で守備の乱れは命取りになるが、好メンバーがそろった。

打線は足も使える上に、パワーも兼ね備えて、バランスが取れるラインアップを選んだ。1番近本、2番牧の出塁から、メジャーにもパワーで対抗できる大谷、村上、鈴木誠とつながるクリーンアップとなる。さらに浅村、柳田と1発のある打者が続いていく。破壊力はある。

【イラスト】佐々木氏が選ぶWBC日本代表
【イラスト】佐々木氏が選ぶWBC日本代表

札幌で強化試合を見た。日本のお家芸といえる細かい野球で勝負というよりは、栗山監督は個々の打力を生かす戦術を採用するイメージを持っているように感じた。1点勝負の試合となれば、俊足の中野、塩見らを起用して、かき回していくオプションもありだろう。(日刊スポーツ評論家)