球団初のセ・リーグ連覇。それを「アレンパ」とした。「そうよ。あれは佐藤輝が言うたんや」と阪神監督の岡田彰布は笑った。

ところがアレンパどころか「アレマ」のプレーを繰り返した。アレンパと名付けた佐藤輝の守備。目を覆いたくなる惨状だった。増えるエラーの数。それも負けにつながるミスが多く、もし下柳がマウンドで投げていたら、グラブを何度もたたきつけていたに違いない。

とどめは何でもないフライを頭に当てての落球…。当然、投手との間にわだかまりが生じて不思議なかった。

それが風向きは変わった。この重要な最終局面で、佐藤輝の守備が安定してきた。最終決戦となった9月22日の巨人戦。1回表、いきなり先発才木がピンチを背負った。先頭の丸に二塁打を浴びた。続く2番浅野が送りバント。これが才木の正面にきた。捕球すると迷わず三塁に送球した。受けた佐藤輝が丸を挟殺プレーに持ち込む。その追い方がよかった。木浪に正確な送球で、時間をあけずにアウトにし、さらに打者走者の浅野も二塁でアウトにした。基本的なプレーだったが、佐藤輝の動きはよどみなかった。

次は4回表だ。2死一、三塁で、門脇の打球はボテボテのゴロ。門脇は俊足で、ワンクッションあれば内野安打になるところ、佐藤輝は判断よくダッシュして、打球が変化したにもかかわらず、アウトにした。

こういった守りが続いている。それによりバッテリーとの信頼関係が回復した。この日の先発の才木は6回表に最大のピンチに立たされた。無死満塁。ここで才木と梅野のバッテリーは右打者のインコースに強い球を選択した。

守りに不信感があれば、バッテリーは配球を変えざるを得なくなる。右バッターに引っ張られたくないから、内角への配球をためらう。だが彼らは思い切った。インコースに投げ込み、狙い通りの内野フライ。長野、坂本を仕留めた裏に、インフィールド内での相互信頼があった。

21日のDeNA戦の延長で、強烈な勝ち越しホームランを放った。これが佐藤輝の最大の魅力だが、反面、守りが最大のウイークポイントになってきた。三塁に飛ぶたびにハラハラドキドキさせてきた。「本人は責任を感じている。それが伝わってくる」。担当コーチの馬場は毎日、丹念にノックを繰り返してきた。守りは練習すればうまくなる。これを信じて…。

残りわずかになった。アレンパのカギになるのはやっぱり佐藤輝。それは打つこともそうだが、守りでも、となる。

こういうことを書いた途端、逆のことになることも多かったが、今回だけは勘弁してくれ。打って、守って…。佐藤輝の本当の真価が問われる時を迎えた。信頼関係を切らさぬようなディフェンスを、である。【内匠宏幸】(敬称略)

DeNA対阪神 10回表阪神1死、右越え本塁打を放つ佐藤輝。投手ウェンデルケン(撮影・横山健太)
DeNA対阪神 10回表阪神1死、右越え本塁打を放つ佐藤輝。投手ウェンデルケン(撮影・横山健太)