阪神のゲームが途中で終わるのは今季101試合で2度目だ。前回は今季21試合目だった4月21日の中日戦(甲子園)。その試合で指揮官・岡田彰布は「今季初の作戦」をとった。1回の犠打だ。1番・近本光司が中前打で出ると2番・中野拓夢に送らせている。
そこまでの20試合でやらなかった戦法を、なぜ、その日は実行したか。雨の予報だったからだ。雨天コールドの可能性がある試合の鉄則は先制点。実際に試合は7回表で終了し、6回裏に3得点をあげた阪神がコールド勝ちしている。
この日も雨になるのはみんな覚悟していた。後半戦は戦い方が変化し、徹底的に先取点を狙うスタイルの阪神。この日も1回に近本が出ると中野は送った。前半戦は4月に2度だけ。それも前述したように1つは雨が理由である。
だが後半戦は11試合で実にこれが8度目の“1回犠打”だ。というか1回に近本が出塁に成功すればすべて送っている。そこに加えての雨予報だ。「最初から雨、おまえ、ゲリラ(雷雨)なんか予報で分かってるんやから」。岡田は敗戦後にそう話したが、だからこそ何が何でも先取点が欲しかったのである。
首尾よくこの日も近本が出て、中野が送った。ここで3番以下に1本出れば先制できる。そう思ったが絶好調の森下翔太、佐藤輝明に期待の1本は出なかった。逆にヤクルトは簡単に2死を取られた後にサンタナが四球。その後、村上宗隆が本塁打し、2点の先制に成功だ。岡田は「四球はあかんっていうの」と指摘したが、ハッキリ言って、これで勝負は決まり…という感じだった。
もちろん、常に打てるはずはない。当然である。それでも、ここは打ってほしかった。特に4番の佐藤輝。先制機に1本打てなかったことが2回の失策連発につながったような気まですると言えば、こじつけか。
なにしろ得点圏打率の上位を阪神クリーンアップで独占する意外? な状況がある。それだけに特に苦手でもないサイスニードから先取点が欲しかったと思うゲームだった。
大事な9連戦の序盤、最下位に低迷するヤクルトに痛い連敗。週末は首位・広島と京セラドーム大阪での決戦が控える。その後は東京ドームで巨人戦だ。この日、両軍が引き分けだったのはどう影響するのか。いずれにせよ、8日はなんとか勝っておきたい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




