衝撃を受けた。坂本誠志郎が出場選手登録を抹消されたのだ。チーム内でも思いは同じだったよう。「そりゃ、びっくりしましたよ」と話す選手もいた。昨年の日本一に貢献した捕手。梅野隆太郎と同様に重要な位置を占める坂本なのだ。

最近、指揮官・岡田彰布は坂本のリード面について指摘することが多かった。それはそうとしてもファームとは。繰り返すが、なかなかの衝撃を感じた。だが今季を振り返れば、同じようなことはすでに起こっているとも言える。

なにしろ森下翔太、佐藤輝明、そして大山悠輔と現在のクリーンアップ全員がファームを経験しているのだ。理想通りにプレーできないなら落とすという意味では共通しているのか。いわゆる“荒療治”だ。

囲み取材の輪が解けた後、岡田に聞いてみた。坂本はピリッとしてこいということですか? 言葉こそ発しなかったが、その問いに岡田はニヤリとうなずいた。老練というか百戦錬磨というか。ハッキリ言って、並みの監督ではやれないことなのは間違いない。

対照的に敵将・新井貴浩は和気あいあいとやっていることが首位快走に奏功しているという。これも名前は控えるが3連戦前、あるカープ選手に聞いてみた。実際、どうなの? と。

「本当ですよ。ミスしても一切、怒られませんし。いいムードでやれています」。なるほど。でも、それで若い選手とか緩んだりしないの? その質問に「大丈夫。締める人がいますから」と返してきた。

会沢翼のことだ。緩みを感じると壁をたたいたり、防具に当たったり。弛緩(しかん)しかかるムードを態度でピリッとさせるという。いかにも親分肌の男らしいと、うなずいた。

現状、そんな選手は阪神にはいない。“和気あいあい”は選手間に限れば阪神も同じだ。では誰が雰囲気を締めるのか。やはり岡田しかいない。マイナスに出れば「ベンチの顔色をうかがう」結果につながるだろう。だが同時にプロとして重要な緊張感を保つことに役立つかもしれない。

高橋遥人の復帰登板で快勝、カード3連敗を避けたこの日も背景に“ピリピリ感”は流れていたと思う。いずれにせよプレーするのは選手。結果が出れば誰も文句を言わない世界だ。ガタガタ言うな、オレがやったる! そんな覚悟で戦えるかどうか。浮上へのカギはそういうところだと思う。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)