この時期にして甲子園に4万1888人の観衆を飲み込んだ今年初の「伝統の一戦」は「してやられた感」の強い敗戦となった。足を絡める巨人野手陣の前に1点差で逆転負け。こんな負けはこたえるし、ここ数年なら阪神がやっていた展開だろうか。オープン戦でよかったと言うべきだろう。

「ありがたいプレーが結構出たので。よかったかなと思いますけどね」。ゲームを振り返り、指揮官・藤川球児はそう言った。球児流に言えば「課題が出た」ということだ。その通り、確かに守備が締まった近年のチームではあまり見られない場面が散見されたゲームだったかもしれない。

焦点は8回だ。途中から中堅の守備に入ったルーキー岡城快生が無死一、二塁で三塁に高い送球をしたこともそうだろう。さらに注目したいのは、その後に出た「投げるべきか。投げざるべきか」という問題だ。

1点ビハインドの8回1死二、三塁でキャベッジの当たりは二ゴロ。これを途中から二塁守備についていたルーキー谷端将伍は一瞬、本塁に送球するそぶりを見せたものの捕手・嶋村麟士朗の指示もあり、一塁へ。これで好スタートを切っていた三走・佐々木俊輔を生還させ、痛い3点目を献上する結果となった。

「投げられたんですけど走者の足も速かったですし。その1球前に(三走が)ギャンブルスタートもしていたので。(あとから)嶋村とも話して無理だったかなって。でもそこをちゃんと投げられるようにしないといけないですね」。谷端はハキハキと振り返った。

プレーしている選手の判断だから正しいのだろう。それでも試合の終盤、僅差で負けている展開である。やはり、あそこは勝負しなければいけない場面だったのでは、と感じた。

「(谷端が)どれだけ横に振られたかとか、まだわかりづらいからなんとも言えないけど勝負するところはしないといけない。そのために前進しているワケですから」。総合コーチ・藤本敦士も言葉を選びながらも「勝負」という言葉を口にしたのである。

救いというとおかしいが、ここで出た名前が若手ばかりというところがプロの厳しさを教えている気もする。同時に見ている側からすればプロ野球の面白さかもしれない。大リーグ組がボンボン本塁打するWBCもいいが、こういうのも味わいだ。このゲームを今後への糧にしてほしい。(敬称略)

阪神対巨人 8回裏阪神1死、岡城は右前打を放つ(撮影・上田博志)
阪神対巨人 8回裏阪神1死、岡城は右前打を放つ(撮影・上田博志)
阪神対巨人 8回裏阪神1死一塁、谷端は併殺打に倒れる(撮影・上田博志)
阪神対巨人 8回裏阪神1死一塁、谷端は併殺打に倒れる(撮影・上田博志)
阪神対巨人 8回裏阪神1死一塁、谷端は併殺打に倒れる(撮影・上田博志)
阪神対巨人 8回裏阪神1死一塁、谷端は併殺打に倒れる(撮影・上田博志)
阪神対巨人 8回裏阪神1死、岡城は右前打を放つ(撮影・上田博志)
阪神対巨人 8回裏阪神1死、岡城は右前打を放つ(撮影・上田博志)
阪神対巨人 8回裏阪神1死、田和(右)は嶋村に右越えソロ本塁打を浴びる(撮影・上田博志)
阪神対巨人 8回裏阪神1死、田和(右)は嶋村に右越えソロ本塁打を浴びる(撮影・上田博志)