静岡学園の左腕・安本光輝投手(3年)は、祖母の「願い」を肉体に宿して急成長を遂げた。先月3日、74歳の祖母ふじ江さんから3年生の10人と安田龍一監督(37)の計11人にそれぞれ千羽鶴が贈られた。約半年かけてチームの躍進を願って折り続けられた1万1000羽の鶴を手にした安本は一皮むけた。ふじ江さんの誕生日だった翌4日の静岡北戦に先発し、10-2で勝利投手に。ウイニングボールを手に祖母宅を訪れ、プレゼントしたという。

 安本は「(静岡北戦は)初回にバタバタした。ベンチに戻って監督から『開き直れ』と言われ、闘争心を思い出した」と振り返る。以後、投球に安定感が増し、直球の球速も130キロ台にアップ。尾白竜太朗主将(3年)から「気迫のこもった投球になった」と言われるなど主戦としての雰囲気が出てきた。「心 全員野球」と掲げる安田監督は「安本は顔色が変わった。心を制御することでコントロールも良くなった」と、さらなる成長を期待した。

 「マウンドで孤独にならずに声をかけてくれる仲間と、祖母に恩返しする」と安本。今夏はV候補・静岡の安本竜二主将が注目されるが「静学の安本」も大きく飛躍するかもしれない。【藤中栄二】

 ◆安本光輝(やすもと・みつき)1998年(平10)3月22日、静岡市生まれ。安倍口小4年の時、竜南キャッツスポーツ少年団で野球を始める。当初は一塁手だったが、同5年から投手転向。家族は両親と姉、妹。177センチ、72キロ。