昨夏準優勝の掛川西が初戦をコールド発進した。相手投手のゆるいボールに手を焼き2回まで無得点も、3回に仲田泰斗の適時内野安打で先制。3巡目に安打を重ね、熱海を下した。現チームとなって公式戦初先発となる斎藤健(3年)が4回0封と最低限の役目を果たした。昨夏は届かなかった優勝旗に向けて、幸先の良いスタートを切った。

 掛川西の木村幸靖監督(34)が絶大なる信頼を置く男が結果を残した。

 3回表2死三塁で仲田が打席に立った。中堅返しを意識したものの完全に打ち取られた当たり。仲田は「しまった」と思ったが持ち前の俊足を見せた。

 「ぼてぼてで内野安打になることが多い。いけると思った」。二塁ベース寄りで二塁手が捕球するも、仲田の足を意識するあまり投げる体勢が不十分で一塁はセーフとなった。

 昨夏はスタンドで先輩を応援していた仲田。秋の大会もチャンスを生かせず冬を越してやっと台頭してきた。指揮官は「賢くて状況判断ができる」と打線のつながりを考慮して2番に置く。仲田自身も「つなぎの役割もあれば、中軸の1人にもなれるし先頭打者にもなれる。そういった選手になりたい」と話す。

 第1打席では右中間に二塁打を放ち、その後は3安打3盗塁と期待に応えた。仲田は「去年はスタンドで応援していて自分が出ているなんて信じられない。やってきたことが出せた」と笑顔を見せた。

 投げては斎藤が「恐らく1年の時以来」という公式戦で先発。先頭打者に左前に運ばれたが4回を2安打5三振にまとめた。前夜に登板を告げられ「なかなか眠れなかった」という。力みからストライクとボールの区別がはっきりしていたが「楽しかった」と昨夏決勝以来となる公式戦のマウンドに明るい表情だった。

 木村監督は「斎藤だけ合格点は与えられない」と手厳しいが、それは期待の裏返しでもある。次戦は下田と対戦。勝利すれば3回戦で藤枝明誠と常葉学園菊川の勝者と対戦する。斎藤は「いい勝ち方をしていきたい」と力を込めた。【加納慎也】