東海大市原望洋(千葉)の金久保優斗投手(3年)は、今大会初登板のマウンドで日本ハム大谷を参考にした新フォームを披露した。

 今大会初登板となった東海大市原望洋の金久保がバージョンアップした姿を見せたのは、まさかの四球の後だった。6点リードで迎えた6回表、マウンドに上がり2死から四球でランナーを出すと、マウンドで思わずニヤリと笑った。「ちょっと力が入ってしまいましたね」。センバツ以来の公式戦マウンド。浜崎雄作監督(43)も、「金久保の四球は久しぶりに見たよ。力みがあったと思う」と、いつもと違う一面を振り返った。

 しかし、すぐに立て直す。春から、コントロール重視のピッチングに取り組んできた。参考にしたのは、日本ハム大谷翔平。何度も映像を見て研究した。約20センチ右足の沈み込みを深くし、ためを作った。「外中心にコントロール良く投げられた」と、7回はストレートとスライダーで連続空振り三振に仕留め、試合を締めくくった。「力は入ったけど、思った通りできた。球のキレも良くなっている」と手応えを実感した。

 試合を観戦したヤクルト橿渕聡スカウトは「センバツのときとは別人。強さが戻ってきた。スライダーのキレがいい」と絶賛した。

 これからの連投に備え、毎日、30~50球を投げ込み、自信をつけた。「大会が始まってから準々決勝、準決勝に合わせて調整をしている。その手応えとしてはいいと思う」と、すでに、その目には決勝のマウンドが見えている。この日の最速は144キロ。大谷を手本にバージョンアップした夏の金久保が、いよいよ始動した。【保坂淑子】