漆黒の空に、校歌が響いた。23日の京都大会準々決勝で、4試合目の立命館宇治-鳥羽戦がナイターで行われた。延長11回表2死一、二塁、立命館宇治の1番中村滉成外野手(2年)が右前適時打を放ち勝利を決めた時、ナイター照明の外は暗闇に包まれていた。

 当初は午前8時半から順に4試合行われる予定だったが、最近の記録的猛暑による選手や審判の健康面を考慮。第2試合の後に休憩時間をはさみ、第3試合を午後4時、第4試合を同6時半と開始を遅らせた。結局、第3試合が長引き、第4試合は同7時1分に開始。終了したのは同10時37分だった。

 立命館宇治の里井祥吾監督(33)は「連盟に配慮してもらってありがたく思う。通常の時間にやっていたら倒れていたと思う」と感謝した。決勝打の中村はこの日午前7時30分に起床したそうで「集中力は正直限界でした。スタンドの応援が『集中やぞ』と言ってくれました」と振り返った。

 京都府高野連は対応に追われた。午後9時50分には「引率者のいない生徒は帰宅してください」とアナウンス。もし同11時で決着がつかなければ、24日の午後4時から再試合を行い、日程を1日ずつずらすことを一時的に決定。日本高野連に問い合わせている最中に勝負が決した。京都府高野連の井上明理事長は「みんなで協力して考えた結果。難しいですね…」と酷暑対策と深夜の試合という課題に、頭を悩ませた。【磯綾乃】