奈良県内で行われたU18高校日本代表1次候補の「国際対応研修合宿」が7日、全日程を終了した。前日6日の紅白戦で国内高校史上最速の163キロを投げた大船渡(岩手)・佐々木朗希投手(3年)はノースロー調整。伝説の目撃者たちには、一夜明けても余韻が残っていた。

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歴史的1球から22時間、時の人となった佐々木は「肩の張りはいつもと同じくらい」と平然と話した。合宿最終日はストレッチなどに励んだ。「多くの刺激を受けました。これを糧にして頑張っていきたい」と合宿参加メンバー30人への感謝を口にした。佐々木の存在が彼らを1つにした。前夜のホテルでは163キロの話題で持ちきり。興奮で雰囲気が高まった流れで連絡先を交換し合った選手たちもいたという。永田裕治監督(55)が掲げた合宿テーマの1つ「結束力強化」にも一役買っていた。

この日、高校生史上最速球を捕った中京学院大中京(岐阜)・藤田健斗捕手(3年)は左手人さし指にテーピングをして練習に参加した。「指のところが割れてしまったんです」。160キロ超の衝撃で、第3関節付近に軽い裂傷を負ったのだった。「これが人の球なのかと。想像を軽く超えていました。捕れただけでうれしいです」と笑いながら残像を振り返った。

165、170…、周囲の期待は自然と高まる。佐々木は「(球速は)気にせずやって、スピードがついていけば。まだ伸びしろはあると思います」と慎重に話したが、3日間をともに過ごした仲間は直接的だった。星稜(石川)・奥川恭伸投手(3年)は「天才。いつか世界を引っ張っていくような。高校生のうちに170キロに到達するんじゃないかと本気で思います」熱く語った。

甲子園未経験、初の全国舞台で「令和の怪物」が残した衝撃は、あまりに大きかった。【金子真仁】