日本高野連は11日、第92回選抜高校野球(19日開幕、甲子園)の中止を決定した。大阪市内で臨時運営委員会を開催。4日に無観客での開催と方向性を示していたが、新型コロナウイルスの感染拡大は納まらず、開催を断念した。センバツは太平洋戦争の影響で1942~46年に中断したが、予定されていた大会の中止は今回が初となった。

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センバツの抽選を行うはずだった毎日新聞社のオーバルホールは、史上初のセンバツ中止の記者会見場になった。大会会長の丸山昌宏毎日新聞社代表取締役社長が「考え得る限りの防止策を検討してきたが、さまざまな角度から中止せざるを得ない。この1週間、感染者が増え、安心してプレーできる環境を担保できない。選手の心情を考えると断腸の思いだ」と厳しい表情で話した。

この1週間で甲子園球場や選手の宿舎が多くある大阪、兵庫での感染者が増加したことも大きかった。日本高野連の八田英二会長(70)は「高校野球は学校教育の一環。選手の健康を第一に、原点だと考え、苦渋の決断をさせていただいた」と選手の安全を最優先した。政府の要請で2日から休校措置となり、出場校の中には十分に練習できていない学校もあり、故障も懸念した上での決断だった。

4日の運営委員会と臨時理事会後には「無観客での開催」の方向性を出していた。出場校の人数を1校27人に絞り、選手に1日3枚のマスク、甲子園球場の12カ所には消毒液、17台のオゾン脱臭機を用意。宿舎からの移動のバスを高野連で調達し、開幕前日18日から大会終了まで医師2人1組が24時間電話相談を受け付けるなど、あらゆる対策を練ってきた。それでも選手だけでなく家族など周囲の感染リスクを考えると、専門家からは不十分だと指摘を受けた。前日10日には安倍首相が全国的イベントの開催自粛をさらに10日間程度延長することを要請。コロナウイルス感染の今後の見通しが立たない中、この日の運営委員会では、全会一致で中止が決まった。

出場予定だった32校は、中止になった第92回大会も出場として、カウントされる。八田日本高野連会長は「運営委員会でも要望が出たが、何らかの形で甲子園に来ていただきたい。あるいは甲子園の土を踏ませてあげたい。今後我々は検討していく」と、明言した。コロナウイルスが落ち着いた後に、出場校の要望も集める。まだ具体的ではないが、甲子園球場で非公式試合や、グラウンドでの練習などのプランを検討し、ウイルスによって奪われた「甲子園でプレーする」という夢を、違う形でも、かなえるつもりだ。【石橋隆雄】