<高校野球栃木大会:栃木工22-0益子芳星・那須(5回コールド)>◇9日◇1回戦◇栃木県総合運動公園野球場

益子芳星・那須の大根田妃菜(ひな)主将(3年)のほおを、涙が伝った。

県唯一の連合チームの、唯一の3年生で女子部員。公式試合に出場できないことは分かっていたが、高校で野球をすることを選んだ。「同級生もいないし、同性の選手もいないので、つらいこともたくさんありましたが、みんなで大会に出場できて、続けててよかったと思いました」と、声を振り絞った。

父、兄、弟が選手の野球一家で育った。中学から本格的にプレーを始め、益子芳星では主に右翼手。この試合は記録員としてベンチ入りしたが、「主将として少しでも勝てる雰囲気をつくりたかった」。制球に苦しんだ投手陣を励ますなど、外野からチームを見つめ続けてきた目を生かしながら、声をかけ続けた。

0-22の5回コールド負けで、最後の夏は幕を閉じた。「まだまだ伸びしろのあるチーム。基礎的な技術をしっかり磨いて、来年こそは連合で1勝してほしい」と、主将らしくエールを送った。卒業後は看護師を目指すという。「本格的な野球とは離れますが、家族とキャッチボールしたり、野球と触れていたいです」。ほおに涙はなく、その表情は晴れやかに見えた。【関根直人】