<高校野球栃木大会:国学院栃木9-1足利工>◇11日◇1回戦◇栃木県総合運動公園野球場

「負けてしまいましたけど、3年間手を抜かずにやってきた自負があるので、悔いはないです」。足利工(栃木)・小泉建太朗遊撃手(3年)の表情はすがすがしかった。国学院栃木に7回コールド負けを喫したが、守備では二遊間を抜けそうな打球を好捕&好送球でアウトに。7回には右越え二塁打を放ち、この試合、チーム唯一、一矢報いる生還。ホームを踏むと大きく拳を振り上げてほえた。

「普段は大きな声を出すタイプではないです」と言ったが、行動でチームを引っ張ってきた。今年2月、足利で山火事が発生した。毎年部員全員で必勝祈願に訪れている最勝寺が、仏像をはじめとする宝物を避難させていることをニュースで知ると、手伝うことを提案。鐘や大型の灯籠などを運び出し「毎年お世話になっている最勝寺さんの力になれてよかったです」と笑った。

卒業後は警察官になるため、野球とは離れる。「昔、もめ事を見かけて仲裁しようとしましたが、うまくできませんでした。その後、警察の方が上手に仲裁している姿を見て素晴らしい職業だと感じたのがきっかけです」と明かした。手を抜くことなく野球に打ち込んできた小泉は、きっと新たな舞台でも、輝くはずだ。【関根直人】

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