優勝候補の一角、帝京長岡が柏崎工を8-0の7回コールドで破り、4回戦進出を決めた。台湾からの留学生、4番江柏■(草カンムリに威)(ジャン・ボーウェイ)左翼手(2年)が2-0の3回裏一、三塁から左中間に2点二塁打を放ち、チームを乗せた。

豪快に振り抜いた江のバットが放った打球は、逆風を突いて深々と左中間を破った。初戦(2回戦)の新井戦の2本に続く、今大会自身3本目の二塁打。「1本打つために気持ちを出した」。帝京長岡は安打が出た回はすべて点を奪う効率の良い攻撃で8得点。主砲の会心の一打が試合の流れを決定付けた。

この秋から4番に座る。芝草宇宙監督(52)は「ボーウェイが打つとチームが勢いづく」。台湾・化仁国民中時代に全国大会に出場した注目の長距離砲。同じ左打者で、台湾で英雄視されている王貞治氏を参考に今春から1本足打法に取り組んだ。夏からはマイナーチェンジに着手。「ミートを意識し、タイミングを合わせるようにした」。高く上げていた右足を少し下げ、バットは担ぎ気味に。手ごたえは打席の結果が示す。

精神面も成長した。今夏の県大会、中軸を任されるはずだったが開幕直前にベンチ登録を外された。練習中に気を抜いた場面が重なったことで、芝草監督が厳しく対処。江はすぐに態度をあらためた。「グラウンドに入るときから気持ちを集中させる」。練習から隙を見せない姿勢がチームメートの信頼を引き寄せた。

帝京長岡はスタメンのうち8人が夏のベンチ入りメンバー。芝草監督は「期待や重圧に負けず、攻める野球を貫く」と選手に自信を持ったプレーを促す。江は「目標は県、北信越を制覇して春のセンバツに出場すること」。優勝候補が着実にステップを上り始めた。【斎藤慎一郎】