今春センバツ優勝校の大阪桐蔭が近江(滋賀)に大勝し、昨秋から公式戦29連勝に延ばした。

8回、丸山一喜内野手(3年)の左中間2ランで勝ち越したが、3月のセンバツ決勝を再現のカードで序盤から先発山田陽翔投手(3年)を打ちあぐねた点を反省。甲子園の春夏連覇に向けて課題を見いだした。

智弁和歌山は塩路柊季投手(3年)からプロ注目の武元一輝投手(3年)への継投で、報徳学園(兵庫)に競り勝った。大阪桐蔭と智弁和歌山は29日の決勝で激突する。

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甲子園連覇を狙う王者の思考だった。近江を「11-2」の返り討ち。同点の8回、丸山が左中間に豪快な決勝2ランを放った。9回は6安打7得点。大勝だったが、西谷浩一監督(52)は開口一番、真顔で言う。

「山田君はツーシーム、フォークが高校生トップレベル。今日はどれだけ打てるかやったが、なかなか打たせてもらえなかった」

序盤は劣勢だった。1回に失策が絡み、先制の2点を献上。センバツで崩した山田にも苦戦した。2点を追う3回、1点をかえし、1死三塁も連続空振り三振で追いつけなかった。内角低めツーシームに空を切ったのは、プロ注目の松尾汐恩捕手(3年)だ。「レベルが上がっている。すべての球種の精度が高い」。140キロ台中盤の速球をコースに決められ、落ちる変化球にてこずった。山田が足をつって降板する6回途中まで1点しか奪えなかった。

決勝アーチの丸山も山田にはゴロアウト2つ。「落ちる球を2ストライク以外でも投げてきて的を絞りにくい。ああいう投手を打たないと甲子園で勝てない」と危機感をにじませた。投打の総合力でじわじわと追いつめ、終盤に得点を重ね「横綱相撲」の逆転勝ち。西谷監督は言った。

「受けて立つ気持ちではなく、しっかり勝負して。夏までに山田くんレベルの投手に、もっと点を取れるようにしないといけない。今日一番の反省です」

29日の決勝は、甲子園の夏連覇を目指す智弁和歌山と対戦する。名将は「いいチーム。春の大会最後」と気を引き締めた。天下無双に仕上げるべく、はずみの一戦にする。【酒井俊作】