大阪大会の伝統校対決で、三国丘が延長10回に逆転サヨナラ勝ちし、昨夏の大阪準優勝校の興国を下して4回戦進出を決めた。1点を追う10回裏に、相手投手の本塁悪送球で2人が生還。劇的な幕切れとなった。甲子園で全国制覇経験のある明星、同準Vの市岡の古豪も快勝。京都大会では京都外大西、龍谷大平安などが好カードを制し、ベスト8進出を決めた。

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延長10回を投げきったエース松本優真(3年)は、泣いていた。6回から右足がつり始め、それでも7回、味方の左翼線を破る安打で二塁からホームに突入。興国の好返球に阻まれて先制はならずも、痛む足と自分を励まし、マウンドに立ち続けた。

9回裏、スクイズ失敗で勝利を逃した。延長10回、三塁ベースに当たる不運な適時打で1点を失った。それでも「必ず取り返してくれる」と打線を信じた。尊敬する先輩に帽子の裏に書き込んでもらった「己を信じて ピンチの時こそ平常心」の言葉を見つめ、集中力を切らさなかった。この日の最速143キロ。昨秋の右肩脱臼も乗り越えてきた。134球の熱投は、サヨナラ勝ちで報われた。

10回裏1死二塁。西畑颯真捕手(1年)が打席に立った。公式戦初マスク。練習試合の出場も1試合しかない。正捕手が体調を崩し、この日の朝に先発出場が決まった。試合中、緊張感で顔がこわばるたび、松本が肩をたたいてくれた。「大丈夫やと声をかけて下さって。力になりました」。信頼に報いたかった。三遊間を破る2本目の安打。次打者の死球で1死満塁とし、興国投手の本塁悪送球で西畑がサヨナラのホームを踏んだ。

34、84年センバツ出場を誇る伝統校。同校OBで前回出場個は神戸大4年だった辻英生監督(61)は、後輩を応援に甲子園に駆けつけた。躍動する母校の姿が「ただただ誇らしかった。歴代部員の積み重ねがあって甲子園につながった」と述懐する。近年は部員不足に悩む。髪型を自由にし、新入生にアピール。11人が入部し、3年11人、2年6人の計28人で今夏に臨む。強敵撃破に「まだまだこのチームで勝ち上がっていきたい」と松本。「忘れられない試合になりました」と西畑。この1勝も、伝統をつなぐ。【堀まどか】