広島先発の薮田は点を取ってもらって、明らかに投球が力んだ。まずは2点を取ってもらった直後の4回表。バレンティンへの四球と暴投、さらに山田に左翼線二塁打を浴びて1点を返される場面だ。ノーヒットピッチングだった3回までとは別人のように制球が乱れ、甘くなって痛打を浴びた。点を取ってもらって、ヨシ、抑えるぞと気合が入り過ぎたのが手に取るように伝わってきた。

 打線は直後の4回裏、新井のソロなどで再び2点を取った。薮田は1点を失った直後だけに、今度こそしっかり抑えるぞと気合を入れ直したが、これがまた力みにつながった。それまで、シーズン2本塁打しか打っていない7番の伏兵、中村に甘い真っすぐを左翼席に運ばれるわけだが、私はこの投球を見て、もうここが代え時と感じた。今日は、もうこの感じのままだろうと。

 14勝で勝ち頭とはいえ、優勝がかかった大一番で、かなりの重圧があったと察する。その後味方が追加点を奪えず、終盤はより抑えないといけないプレッシャーがかかり、ついに7回につかまった。同点にされて流れが相手に行った状況で、投げるリリーフ陣は大変だ。8回は今村がつかまったが、これはもう、やむを得ない。最下位ヤクルト相手で絶対優位と言われた試合。でもそれほど、優勝は難しいと感じる、教訓の敗戦になったのではないか。(日刊スポーツ評論家)