楽天は6度目の完封負けで今季最多タイの借金17となったが、完敗の中で収穫はプロ5年目の今野龍太投手(23)だった。

 今季初登板は3回、なんと無死満塁という場面で巡ってきた。「ファームと一緒で、高めにふけないように投げた」。2球目に最速の150キロ。会沢に右犠飛は許したが、ここから2者連続三振でピンチを切り抜けた。

 続く4回も上位打線を無安打に抑えた。2回を3奪三振で無安打無失点。上々の結果を残した。思わぬ好投に梨田監督も「今野はしっかりしてくれた。思ったより投げてくれた」と孝行息子の出現を喜んだ。

 監督の高評価とは対照的に本人の自己評価は低かった。「全然変化球がストライク入らなくて。ブルペンから(調子が)悪かった。悪い中でもどうにか抑えられた。真っすぐもバラバラだった。次は修正したい」。反省の弁ばかりが口をついた。

 自己最速の球速は153キロ。ピンチでの登場にもかかわらず、この日はあと3キロに迫った。「(150キロが)出てもコントロールよく投げないと意味がない。コンスタントに150キロが投げられるように頑張らないと」。野球界では無名の岩出山高(宮城)出身。ドラフト9位からはい上がった雑草右腕は、向上心を糧に1軍定着を虎視眈々(たんたん)と狙っている。【斎藤直樹】