JR北海道クラブが今季チームに復帰した武藤好貴投手(30)の好投で、4年連続本大会出場に向け白星発進した。3-0で室蘭シャークスに快勝。昨季限りで楽天を退団、7年ぶりに古巣で先発した右腕は7回5安打無失点と貢献した。同じく昨季まで日本ハムで、今季から室蘭シャークスに復帰した左腕瀬川隼郎(31)との元プロ対決を制した。

 JR北海道クラブの武藤が瀬川との投げ合いを制した。先発マウンドに上がり、7回5安打無失点と力投した。ともに札幌市出身で、瀬川は1学年上。昨年までプロに在籍し、今年からかつて所属していた社会人チームに復帰したのも同じだ。刺激を受ける先輩との対決に「瀬川さんには負けたくなかった」と振り返った。

 7年ぶりとなる古巣での先発は“ぶっつけ本番”だった。3月の本州遠征で右肘に違和感を覚えた。オープン戦、公式戦で投げたのは3試合で計3回2/3のみ。最長は2回だった。「スタミナがどこまで続くかわからない。試合感覚も難しかった。不安で緊張しました」。6回、ベンチに戻ると狐塚賢浩監督(52)に「そろそろ疲れました」と正直に伝えた。それでも当初、想定していたよりも長く投げ貢献した。

 成長した姿を見せた。初回は変化球で連打を浴びたため、2回以降は直球主体に変えた。走者を出すと、低めへの制球を心がけた。三振よりも打ち取ることを強く意識し、二塁を踏ませなかった。スタミナを考慮して力を抜く場面は抜き、抑える場面はキッチリ抑えた。メリハリのある投球に狐塚監督は「昔は打者全員に全力だった。大人のピッチングを見せてくれました」とうなずいた。

 9、10日の登板は右肘の状態次第となるが、4年連続の本大会に向け弾みをつけた。「初戦で勝って流れを作れて良かった。都市対抗に出たら勝ちたいです」。ライバルをシャットアウトした右腕の勢いに乗っかり、今年も東京ドーム切符をつかむ。【西塚祐司】