見えた! 逆転CS! 中日が、平田良介外野手(30)の8号決勝弾などで広島との最終戦(マツダスタジアム)に競り勝った。先発の笠原祥太郎投手(23)が6回5失点(自責4)で5勝目。2番手のジョエリー・ロドリゲス投手(26)も日本球界左腕最速の159キロ速球を披露し、7ホールド目を挙げた。3位巨人とは1・5ゲーム差の4位に浮上。竜の熱いシーズンは、終わらない。

オレンジ色のバットから放たれた打球は、敵地の曇り空のもと、グングン伸びた。7回2死走者なし、広島大瀬良が投じた2球目カットボールを捉えた平田の一撃は、左中間スタンドに吸い込まれた。追いつかれた直後の8号弾が、勝利を引き寄せた。

「あの場面で点を取るには本塁打しかない。感触も良かったので、打った瞬間にわかった。いい場面で打てた」。完璧な手応えに、一塁を蹴ると、平田は思わず白い歯をのぞかせた。向上心を忘れない平田でも、自画自賛できる最高の一打になった。

5点リードを追いつかれる苦しい展開も、終わってみれば阪神を勝率で上回り、4位に浮上。3位巨人にも1・5差に詰め寄った。「1戦1戦負けられない戦いが続く。全力でがんばっていく」と平田は力を込めた。

13日の阪神戦で、ベテラン松坂が6勝目を挙げた。これで松坂登板の次戦は、11戦で10勝1敗。9割9厘と驚異的な勝率を誇る。前回4日のヤクルト戦(神宮)で9回に6点差を追いつかれ、逆転負けした。途切れたと思われたレジェンド“不敗神話”も、よみがえった。対広島戦は5連勝締め。リーグ唯一14勝11敗と勝ち越した。

粘りの勝利と問われ、森監督も「そういうこともあるだろうな」と満足げな表情を見せた。今日16日からは敵地・東京ドームで、巨人との2連戦。連勝すればCS圏内の3位に浮上。シーズン終盤の大逆転へ、竜がその1歩を踏み出した。【伊東大介】