野獣の能力を解放せよ! 阪神江越大賀外野手(25)が秋季キャンプでも抜群の身体能力を発揮。特打では場外弾、実戦ではレーザービーム。走っても、前日2日に打席から二塁までの到達タイムで参加選手トップの7秒00を記録した。そんな江越を、レジェンドが解説。プロ野球のスピードを変えたと言われる広瀬叔功氏(82=日刊スポーツ評論家)が指摘した。

午前中のランニングメニューでも、美しいフォームで駆け抜けた。写真を見た元祖スピードスターの広瀬氏も「いいフォームだ」と第一印象。腿が上がり、視線は真っすぐ前を向く。筋肉の発達にも目を見張った。江越自身も「守備と走塁は出来て当然というか。普通にならないといけない」と自信を持つ。一方で広瀬氏は「野球用の走りではないかな」と提言した。

広瀬氏は「野球にはきれいなフォームはいらない。10メートル、20メートルをいかに速く走るか。小股でタタタっと行く方が速い」と続けた。ただの身体能力ではなく「頭を使って野球専用の“野人”にならないと」と言う。「極端な話だが、変な体勢で投げたり走ったりとか。打撃でもそういう部分はあるよ。型にはまらない練習を取り入れるのもいい。それが眠っている部分を解き放ってやることも、つながるはず」とうなずいた。

野人能力解放へ、江越は動きだしている。頭をフル回転して臨む。広瀬氏も江越も「足を生かすためには塁に出ないと」という思いは同じ。課題の打撃は「右方向に強い打球を打つこと」を主眼に「力を入れて振れば飛ぶ。今は力を入れずにスイングして、飛距離を落とさないように」と取り組んでいる。大きな期待を受けながら力を発揮できない現状。周囲の声も耳に入り「それは…。もちろん悔しいです」と隠さない。未完の大器とはもう言わせない。江越野人化の秋は続く。【池本泰尚】