野球好き歌手の河野万里奈がプロ野球4月前半(1日~14日)の10大ニュースをチョイスした。

野球好き歌手が選ぶプロ野球開幕3連戦8大ニュース

1位:宮西尚生、日本の宝となる

4月13日を国民の祝日にしませんか? この日、新たな歴史が刻まれた。日本ハム宮西尚生投手が通算300ホールドを達成。プロ野球史上初の偉業だ。08年から11年間連続で50試合以上投げ続けてきた。決して華やかな役割とは言えない中継ぎに徹し「僕にスポットライトはいらない」と言いながら。しかも、昨年11月には左肘を手術している。それなのに今季すでに7試合(全試合の約半数)に登板。なんたる鉄腕。記念品を持ってきた上沢投手と加藤投手の小ネタも、ムードの良さを象徴しているようで目頭が熱くなった。試合終了した瞬間に記念グッズを販売開始したファイターズの仕事の速さにもファンとして大感謝。ちなみに、わたしはいつも出身校を聞かれたときに「宮西投手と同じ関西学院大学です」とドヤ顔で答えている。母校に銅像立たないかなぁ。

日本ハム対ロッテ 通算300ホールドを達成しボードを掲げる宮西(撮影・黒川智章)
日本ハム対ロッテ 通算300ホールドを達成しボードを掲げる宮西(撮影・黒川智章)

2位:捕手銀次、盗塁阻止

ライブ後、楽屋に戻るなり、共演者である真面目なアイドルが教えてくれた。「野球の銀次さんがツイッターのトレンドに入ってるよ!」。何が起こったのかと思い調べると、捕手銀次が盗塁を阻止したという。一瞬、意味が全然わからなかった。4月7日、オリックスvs楽天戦。代打起用で捕手を使い切った楽天ベンチ。そこで、内野手登録である銀次選手がキャッチャーを担ったのだ。もともとは捕手として入団。しかし09年秋、内野手に転向。プロ入り14年目にして初めて1軍でマスクを被り、4回1安打に封じ、しっかり盗塁も刺して、チームのピンチを救った。運命めいたものも感じる、特別な日だった。

7日のオリックス対楽天 9回裏オリックス無死から捕手を務めた銀次(撮影・渦原淳)
7日のオリックス対楽天 9回裏オリックス無死から捕手を務めた銀次(撮影・渦原淳)

3位:キナチカ、スクスク育つ

阪神ファン希望の星「キナチカ」。開幕当初から、期待の風船はパンパンに膨れ上がっていた。チカ(近本選手)は、比較的早くに初安打、初打点、初盗塁、初本塁打、初猛打賞を記録。一方、キナ(木浪選手)は、17打席無安打とプロの世界に揉まれていた。わたしからすれば1年目から第一線にいるだけで超英雄だが、ご本人は苦しそうだったし、反動で風船が割れてしまいそうで、少し怖かった。そんな木浪選手がついに4月12日、初ヒットを放つ! 翌日には初タイムリーも出た! 一塁でスタメン出場し、二塁からのショートバウンドを華麗に処理、イトキナ(糸原・木浪)のファインプレーを魅せる場面も! キナチカは並んでニコニコしているだけで徳を積んでいるので、これからも2人が、チームが笑えるようにあたたかく応援しようと強く想った。そんな、ルーキーコンビの初春。

11日の阪神対DeNA 7回裏阪神無死、近本は右中間にプロ初本塁打を放つ(撮影・上山淳一)
11日の阪神対DeNA 7回裏阪神無死、近本は右中間にプロ初本塁打を放つ(撮影・上山淳一)
12日の阪神対中日 7回裏阪神1死、代打木浪は中前にプロ初安打を放ちガッツポーズ(撮影・加藤哉)
12日の阪神対中日 7回裏阪神1死、代打木浪は中前にプロ初安打を放ちガッツポーズ(撮影・加藤哉)
13日の阪神対中日 6回裏阪神無死、右越えにソロ本塁打を放った近本光司右を笑顔で出迎える木浪聖也(撮影・上田博志)
13日の阪神対中日 6回裏阪神無死、右越えにソロ本塁打を放った近本光司右を笑顔で出迎える木浪聖也(撮影・上田博志)

4位:ロンロン、天使になる

あなたは見ただろうか? 4月3日、楽天生命パークは極寒。前日には大雪。日本ハムの守備中、リクエストが要求された。選手は寒い中での判定待機となるが、間もなく、外野陣が暖を取り始める。「おしくらまんじゅう」のように身を寄せ合って。その光景が、理解が追い付かないほどかわいらしかったのだ。おそらく、ワイルド系の大田選手、王子系の西川選手、少年系のロンロン(王柏融選手)というバランスも絶妙に良かったのだろう(河野調べ)。腕をクロスさせて静かにたたずむ姿は、まるでギリシャ彫刻の天使像だった。わたしは18年間野球を愛してきたけれど、グラウンド上であんなにかわいらしい状態になる場面は、めったに見ない。リクエスト制度の予想外の副産物。待ち受け画像に設定した。

※寒くて写真撮り忘れました。ごめんね、ロンロン(編集部)


5位:ブラッシュ、真夏のジャンボリー

耳を疑った。楽天の新外国人ブラッシュ選手が打席に入るとき、あの歌が鳴り響いた。『Ah~真夏のジャンボリ~!!』。助っ人外国人の登場曲といえば、異国情緒漂うEDMやラテン曲のイメージがある。しかし、ブラッシュ選手は何がどうなったか湘南乃風の「睡蓮花」なのだ。どうやら「ファンが盛り上がれる日本の曲がいい」というブラッシュ選手の想いを知った通訳さんが何曲か提案し、その中から選んだそう。ブラッシュ選手と言えばバッティングフォームも独特。正面から見たら数字の「9」のよう。横から見たらちょっぴりセクシーなグラビアアイドルみたいで…わたしはいつもドキドキしている。そんなフォームで、打っては4月12日まで4戦連続安打などチームの首位争いに貢献。ブラッシュ選手の意外性に驚いた4月上半期だった。

12日の楽天対ソフトバンク 2回裏楽天1死二塁、左適時打を放つブラッシュ(撮影・足立雅史)
12日の楽天対ソフトバンク 2回裏楽天1死二塁、左適時打を放つブラッシュ(撮影・足立雅史)

6位:佐伯貴弘氏、解説で優勝する

4月12日、DeNAvs広島。調子を落としていた鈴木誠也選手の凡退後に解説を求められた佐伯貴弘氏の言葉が、忘れられない。「バッティングは構えからインパクトまで、その動きを10分割にし、コマ送りで認識する。不調の時はそこにもう1つコマが増えてしまっている。中でも、トップが一段階深くなっていることが多い」という旨だった。雑誌等で連続写真を見たことがあるため、その概念は認識していたが、こんなに初心者にもわかりやすく言葉で表現できるものかと感動した。スマホ片手に思わず「わかりやす~い」と声を上げた。野球は体だけでなく脳も駆使しているんだなぁ…すごい。

現役時代の佐伯貴弘氏(98年撮影)
現役時代の佐伯貴弘氏(98年撮影)

7位:おかえりなさい。

10日、広島から楽天に移籍した福井投手が、714日ぶりに勝利。翌11日にはソフトバンク戦力外を経てヤクルトに新加入した寺原投手が、704日ぶりに勝利。おかえりなさい。スケールが違って大変恐縮なのだが、わたしは約8年前に「アニソングランプリ」で10189組と競い優勝しデビューした。一つの山を登り切った先には、次の舞台で思うように結果を出せない日々が待っていた。だから、経緯や実績が全然違うことは承知の上で、ドラフト1位で入団し活躍した後に長いトンネルを走ってきた両選手にどこか重ねてしまう想いがある。両選手がお立ち台に返り咲き、これからもチームの戦力として投げ続けていくこと。この事実に大きなメッセージを感じるのは、わたしだけじゃないはずだ。

10日の西武対楽天 移籍後初勝利の楽天福井(右)は、平石監督と笑顔でガッツポーズ(撮影・浅見桂子)
10日の西武対楽天 移籍後初勝利の楽天福井(右)は、平石監督と笑顔でガッツポーズ(撮影・浅見桂子)
11日の広島対ヤクルト 今季初勝利を飾ったヤクルト寺原(中央)は「一球入魂」と記された宮島のしゃもじ型お守りを手にしたつば九郎(右)、つばみと笑顔でポーズ(撮影・栗木一考)
11日の広島対ヤクルト 今季初勝利を飾ったヤクルト寺原(中央)は「一球入魂」と記された宮島のしゃもじ型お守りを手にしたつば九郎(右)、つばみと笑顔でポーズ(撮影・栗木一考)

8位:投手王国DeNA復活の足音

4月10日、推しの浜口投手が9回1安打無失点でプロ初完封勝利を挙げた。7四球を出しながらも表情豊かに抑えていく様子は、荒波を求めて楽しむサーファーのようだった。波乗りハマちゃん。その翌々日には「作詞した曲を聴いてみたい野球選手」ランキング1位(河野調べ)でもある、今永投手が9回1安打完封で今季2勝目。昨季苦しみもがいてきた両選手のニコニコ笑顔、女房役の伊藤光捕手の懸命の援護にはウルッと来るものがあった。11日にはドラ3ルーキーの大貫投手が5回1失点でプロ初勝利。ドラ1ルーキー上茶谷投手も、2試合に登板しいずれも落ち着いた好投で勝利への階段を上っている。「投手王国」DeNAベイスターズ復活なるか。期待と応援の蕾が膨らんだ4月上半期。

10日の阪神対DeNA 阪神打線を完封した浜口(左)はファンにあいさつする(撮影・奥田泰也)
10日の阪神対DeNA 阪神打線を完封した浜口(左)はファンにあいさつする(撮影・奥田泰也)
12日のDeNA対広島 1安打完封勝利を収めた今永(右)はラミレス監督に迎えられる(撮影・河野匠)
12日のDeNA対広島 1安打完封勝利を収めた今永(右)はラミレス監督に迎えられる(撮影・河野匠)

9位:ロッテ、ホームラン祭

これが、昨季チーム本塁打数最下位の球団か?! 4月14日の試合終了時点で、チーム全体の本塁打数は21本。ソフトバンクと並んでリーグトップタイ。まだ前半も前半なので確定的には言えないが「またホームラン!」というイメージがとにかく強い。とりわけレアード選手は7個も寿司を握り、中村奨吾選手が5本、加藤翔平選手は4本。ZOZOマリンにホームランラグーンが作られたことだけが要因ではないはずだ。アジャ(井上選手=2軍調整中)の復活が楽しみ。とてつもなく余談ですが、加藤選手いい反り眉だなぁ。

2日の西武対ロッテ 8回表ロッテ1死、左越えソロ本塁打を放ったレアードはすしポーズ(撮影・鈴木みどり)
2日の西武対ロッテ 8回表ロッテ1死、左越えソロ本塁打を放ったレアードはすしポーズ(撮影・鈴木みどり)

10位:ヤクルト、首位でグッチを迎える準備万端

最強のリードオフマン・グッチ(坂口選手)がケガで離脱してしまってもなお、こんなに強いなんて! 4カード連続勝ち越し。直近の6試合では、4試合を2ケタ得点で勝利している。期待の大砲である村上選手、山田哲人選手、バレンティン選手と、いわゆる打つべき選手からホームランも出ているし、個人的には雄平選手がやはり素晴らしすぎて頭を抱えてしまう。実績もそうだが、打った後「うれしい~」って口程に物を言っている笑顔はプライレスレス。日本ハムから移籍組の高梨投手の初勝利、太田選手の猛打賞もシビレた。勝つことが多いと、推しの近藤投手、石山投手のリレーも見られるので眼福。好スタートで首位キープ!

13日の巨人対ヤクルト 4回表ヤクルト無死、バレンティンに続き、ソロ本塁打を放ち、ベンチに迎えられ笑顔を見せる雄平(左)だったが、途中からサイレントトリートメントに変わり、苦笑いする(撮影・狩俣裕三)
13日の巨人対ヤクルト 4回表ヤクルト無死、バレンティンに続き、ソロ本塁打を放ち、ベンチに迎えられ笑顔を見せる雄平(左)だったが、途中からサイレントトリートメントに変わり、苦笑いする(撮影・狩俣裕三)

特別枠

その1:京田陽太、鳥谷様の前で初満塁弾を披露

その2:わたし、西浦颯大選手・なべりょーを推し増し

その3:わたし、ロンロンの来日初猛打賞・初盗塁を生で観てその夜眠れない

その4:坂本選手、今年も想像を超えてくる

その5:西武ショート永江選手、執念のヘッドスライディング

13日の阪神対中日 4回表中日無死満塁、京田は右翼越え満塁本塁打を放つ(撮影・加藤哉)
13日の阪神対中日 4回表中日無死満塁、京田は右翼越え満塁本塁打を放つ(撮影・加藤哉)
オリックス西浦颯大
オリックス西浦颯大
7日の日本ハム対西武 6回表西武2死二塁、日本ハム渡辺は秋山の二ゴロをジャンピングスローでアウトにする(撮影・小沢裕)
7日の日本ハム対西武 6回表西武2死二塁、日本ハム渡辺は秋山の二ゴロをジャンピングスローでアウトにする(撮影・小沢裕)
5日の日本ハム対西武 笑顔で球場を後にする日本ハム王柏融(撮影・佐藤翔太)  
5日の日本ハム対西武 笑顔で球場を後にする日本ハム王柏融(撮影・佐藤翔太)  
13日の巨人対ヤクルト 5回裏巨人1死、左越えソロ本塁打を放ちベンチに向かってほえる坂本勇(撮影・鈴木みどり)
13日の巨人対ヤクルト 5回裏巨人1死、左越えソロ本塁打を放ちベンチに向かってほえる坂本勇(撮影・鈴木みどり)
西武永江(13年3月撮影)
西武永江(13年3月撮影)

河野万里奈(かわの・まりな)

5月21日生まれ、福岡県出身の歌手。関西学院大出身。物心がついた頃から、夏休みは兵庫・尼崎市の祖母宅に行き、家族で甲子園球場に通っていた。選手にドはまりした最も古い記憶は、04年の佐野恵太選手(東海大甲府高)。中学時代、多感な時期の女子たちとのコミュニケーションに苦しんでいた時に、鳥谷敬(阪神)の存在を知る。言葉でなく背中で語る姿に救われて以来、「鳥谷様」と呼ぶほどに崇拝。自称「鳥谷チルドレン」。甲子園から応援していた選手が各球団に散っていくため、特定の球団を応援することができない。「NPB箱推し(全体を応援している、の意)」で、現在は週1のペースで各地の球場に足を運んでいる。

2010年、「第4回アニソングランプリ」で応募者総数1万189組の中からグランプリを獲得し、翌年アニメ『Aチャンネル』のOP曲「Morning Arch」でデビュー。作詞作曲、ライブパフォーマンスのインスピレーションは9割野球選手から受けている。SNSの投稿内容の割合は、歌:野球=2:8。とにかく脳内が野球に支配されている。ライブ中のMCでも野球トークを繰り広げるため、共演者や音楽ファンをしばしば困惑させるほど。選手への愛しさ余って勝手に応援歌を作りSNSに投稿しており、昨年は西武ライオンズの山賊打線をテーマにした曲「ライオンズアラート」がややバズって喜んだ。選手の登場曲を担当することが夢の一つ。いつか鳥谷様に、ここまで育ててくださったことのお礼を言うことも夢の一つ。148センチ、右投げ右打ち。

2019年5月、テイチクインペリアルレコードより再メジャーデビューが決定。

5月15日にニューシングル『真人間入門』リリース。5月19日にワンマンライブ開催。

野球好き歌手・河野万里奈が熱く語る/シリーズ一覧

河野万里奈
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