ブレーク中の日本ハム渡辺諒内野手(24)が楽天15回戦(楽天生命パーク)で今季4度目の3安打猛打賞、チームを同一カード3連勝、単独2位へと押し上げた。1点リードの6回に、楽天青山のスライダーを左中間席へ運ぶ、ダメ押し5点目の7号ソロを放った。これでチームは2日西武戦から10日ロッテ戦までの9連戦勝ち越しが決定。前半戦最後のロッテ3連戦へ弾みをつけて、敵地ZOZOマリンスタジアムに乗り込む。

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絶賛ブレーク中の24歳が、久々の同一カード3連勝をたぐり寄せた。4-3と1点を勝ち越した後の6回。先頭の渡辺は「出塁することだけを意識した」と、生真面目に打席に立った。カウント2ボール1ストライクからの4球目、甘く入ったスライダーにバットを合わせた。タイミングは、ばっちり。強振した打球は、敵地の左中間席へ勢い良く突き刺さった。「打った瞬間、本塁打だと確信できたほど、よく飛んでくれました」。納得のダメ押しアーチとなった。

6月に13試合連続安打を記録した勢いは、止まらない。4回の第2打席でも、先頭で右前打を放って出塁し、同点のホームを踏んでいた。5-3で迎えた8回の第4打席も先頭でまわり、中前打で出塁。決定的な6点目のお膳立てをするなど、6番打者として下位打線を引っ張った。この日、得点の半分を6番以降の下位打線で奪っており、栗山監督も「下からつながると大きな流れになる」と、うなずいた。

主将の中田から「強奪した」という黄色のカラーバンドが“幸運のネックレス”に、なりつつある。交流戦期間中、中田が巨人坂本勇から譲り受けた「AXF(アクセフ)」のネックレス型のカラーバンドを「大将(中田)が何本か持っていて、気に入った」。体幹の安定やバランス感覚の向上を狙ったもので「集積機能性ミネラル結晶体」という特殊な物質が繊維に含まれている。装着してからの打撃は、破竹の勢いだ。

持ち前の長打力を生かした一発に加え、チャンスメークも可能な柔軟性。高卒6年目で、すっかり正二塁手に定着した。七夕の日。「ここまできたら、2ケタ(本塁打を)打ちたい。レギュラーとして規定打席に到達するのが目標」という若武者が星に願うのは「チームが優勝すること」。単独2位浮上も、立ち止まる気はさらさらない。【中島宙恵】