高校時代はバレー部ながらプロの注目を浴びる名古屋大・松田亘哲(ひろあき)投手(4年=江南)が2失点(自責なし)完投勝利で、勝利に貢献した。

異色の左腕がドラフトを1カ月後に控えてまた評価を上げた。自己最速は148キロ。3部リーグとしては異例の5球団17人のスカウトが注目する試合で、力みが目立ったが、スカウトのスピードガンでは145キロを計測した。力のある速球で押したかと思えば、制球のいい2種類のスライダー、チェンジアップを低めに落とし、味方の失策による2失点だけに封じた。

「今日はこの秋で最悪の出来でした。直球が浮いてしまった。投球は納得していないけど、試合に勝てたのでOKです。チームが粘り勝ちできた」と逆転勝利を喜んだ。

すでにプロ志望届を提出。難関の国立大である名古屋大からのプロ野球選手は過去にはいない。指名されれば旧帝大では東大、京大に続く3校目になる。中学まで軟式野球で、高校ではバレー部。3年間グラウンドを離れて「今しか野球はできない」と再び野球への情熱を取り戻し、地道な努力で成長を遂げた。3部リーグとはいえ、今秋は3連続完投勝ちとエースの仕事を果たしてきた。

目標はプロ1本。安定収入が見込めるサラリーマン生活は捨て、就職活動もしない。指名漏れしても、独立リーグなどで「プロ」として活動するつもりだ。「もう野球だけです。とりあえず土俵に乗りたい。そこから食らいつきたい」。知的さを醸し出す黒縁めがねがトレードマークの異色左腕が、がぜん注目を浴びている。