クライマックスシリーズ(CS)進出へ望みをつないだ。ロッテ種市篤暉投手が今季最終登板で8回無失点。チーム最多の8勝目を挙げた。

お立ち台で「素直にうれしいです。何とか抑えられました」と満面の笑み。4月29日の楽天戦で初勝利を挙げた際の、たどたどしさはどこにもなかった。

投球の幅が広がった。「フォークもよくなってきましたし、最近ではスライダーもみんな意識して振ってきてくれている」。シーズン当初、決め球の軸はフォークだった。初めて6回を投げた5月16日は6三振のうち4つがフォーク。残るは直球とスライダーが1球ずつだった。

この日は9三振のうちスライダーで5つを奪った。「縦に落とすとかいう意識は特にないですけど、2ストライクでスライダーが出たらワンバウンドを投げる気持ちで」。捕手の田村は「フォークとスライダーでは回転数が違う。回転数の多いスライダーの方が直球と思って打者が振る」と分析。116回2/3で135三振。奪三振率は驚異の10・41。思い切り腕を振り、鋭く縦に落ちる。

負ければCS進出が絶望的になる一戦に勝ち「今日負けたらいよいよ(危ない)と思った。(明日先発の)石川さんにつなげてよかった」と種市。まだまだあきらめない。【久永壮真】