小学生野球は基本が大事! 里崎智也氏(43=日刊スポーツ評論家)が、ジュニア世代に贈る独自のアドバイスの第2弾は、キャッチボール編。9月29日に千葉・鴨川で開催した野球教室で、捕球と投球の基本を説いた。

野球教室の最初は「捕球」だった。「みんな、キャッチボールするときに、どこで捕る?」。意表を突く質問に、50人の小学生は返答に詰まった。

パンパンパン。里崎氏はミットを右拳でたたきながら答えを待つ。

「強くしっかり捕ることが大事。次の動作がスムーズになるからね。一番力が入りやすいところは、両手で一番強くたたけるところ。ここで捕るんです」。そう言って、パンパンと音を響かせた。

手を伸ばしても、反対に手を胸に近づけても、ミットは大きな音を発しない。体の中心にミットを配置し、両肘は90度に近い。自然にたたける、そのポイントが捕球すべきポイントだ。同ポイントにミット(グラブ)があれば、上下、左右、どこでも速やかに対応できる。だから、「捕る形は大事だよ」。

フライも同様。パンパンとたたきながら、ミットを目線の近くまで上に掲げる。そのポイントで捕る。

ゴロも同様だ。パンパンとたたきながら腰を落とす。さらにミット(グラブ)を地面に付ける。ここでキャッチすれば、次の動きがスムーズだ。送球ミスも自然と少なくなる。

次は投げ方だ。右投げを前提に説明した。

「右投げなら右手、左投げなら左手の使い方はあまり気にしなくていい。一番大事なことは、グラブを持っている手。グラブを持っている手をうまく使えるかどうかで、コントロールがどうなるかが決まるんだ」

「しっかり横を向いて、そこで左手を出す。そのときにグラブの手を『クッ』と内側に曲げてほしい。そうすることで、左肩の開きが抑えられるんだ。そして、そのグラブを目がけて投げる。左手を上げたまま、右手がグラブに乗るくらいのつもりで。グラブの前でボールを離す感じを意識して!」

体の構造上、左手を上げたら右手が上がる。だから、その手順で投げれば自然と右肘が上がり、腕が正確な軌道を通る。さらに、グラブを目標にすることで、ボールを真っすぐ投げることができるのだ。

キャッチボールを見ながら里崎氏は「そうだ! これができれば、100%真っすぐ投げられるぞ」と声をかけた。

キャッチボールを10分くらい続けると、ある傾向が表れてきた。前回、里崎氏が指摘した「大きい子は、周りより良い結果を出せるから、努力をしなくなる。だから、この世代は正しい形を学ぶことが、大切なんです」が実証されたのだ。

左手を上げたまま、右手をグラブにぶつけるように投げるのは、意外と難しい。だから、速いボールを投げることができる大きな子は、左手を上げる動作をすぐに省略してしまい、グラブは下がったままに。いつものキャッチボールにすぐに戻った。

先週の言葉「『打った、抑えた』という結果を求めるのではなく、形です。活躍はうれしいけれど、高望みは必要ないんです」の意味も、合点がいった。

◆里崎智也(さとざき・ともや)1976年(昭51)5月20日、徳島県生まれ。元プロ野球選手。鳴門工(現鳴門渦潮)-帝京大を経てロッテ入団。06年第1回WBCでは優勝した王ジャパンの正捕手として活躍。08年北京五輪出場。