「第48回三井ゴールデン・グラブ賞」の授賞式が28日、都内のホテルで行われ、阪神西勇輝投手(29)と梅野隆太郎捕手(28)が栄冠を手にした。西は失策0の好フィールディングが評価されたが、チームは今季ワーストの102失策。「1人1人の意識が大事」とナインに失策撲滅を呼びかけ、来季ゴールデン・グラブ賞の“猛虎ジャック”を願った。

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手元に輝く金色のグラブに、西は誇らしげだった。「一番欲しかった賞でもありますし、すごくそこを大事にしてきたつもりだったので、やっと取れて良かったなと思います」。プロ11年目で待望の初受賞。しかも移籍1年目で、球団初の投手部門受賞者となり、自然と顔がほころんだ。

今季は26試合に先発し、チームトップの10勝を挙げる中で失策はゼロ。抜群のフィールディングで何度もピンチをしのぎ、失点を防いだ。「自分自身、三振を取るピッチャーでもないし、総合力で戦ってるピッチャーだと思ってます。そこを大事にけん制だったり、スキのないいよう11年間やってきたので」。投球スタイルを自覚し、こだわってきた部分だからこその栄冠がうれしかった。バッテリーで受賞した梅野と仲良く座り、笑みをこぼした。

だが、新たな目標もできた。隣のソフトバンクは千賀と甲斐のバッテリーに加え内川、松田宣と最多の4人が受賞。日本一のチームなら、おのずと受賞者も増える。その姿が輝かしく、来季ゴールデングラブ賞の“虎ジャック”に思いをはせた。「失策率がワーストというのは、記録上出てるので。それが向上して、(表彰式の)壇上を阪神で固められるように、いけばいいんじゃないかと思います」。

今季は12球団ワーストの102失策。だが、改善できる。西は呼びかけた。「これはみんなが心がけたらできることなので、1人1人の意識が大事だと思います」。さらに「バッテリーで取り続けたいのはありますし、僕じゃないピッチャーが出てきて取ること大事だと思います」と身内バトルで切磋琢磨(せっさたくま)する重要性にも力を込めた。何度も西に助けられた今季。来季はエースを助ける鉄壁の守備陣が見たい。【磯綾乃】