阪神の渉外担当者が緊急渡米したことが7日、分かった。基本合意に至ったメジャー92本塁打の新外国人ジャスティン・ボア内野手(31=エンゼルスFA)との正式契約が主目的だが、新外国人の調査も兼ねている。残留交渉を進めるピアース・ジョンソン投手(28)とラファエル・ドリス投手(31)との交渉が難航中。最悪の事態に備えて代役獲得の準備を進める。

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タイムリミットが迫っている。メジャー移籍との二者択一で揺れているジョンソンについて問われた谷本修球団副社長兼本部長は、険しい表情を浮かべた。「それくらいには決断しないといけないでしょうね。間に合わなくなる」。メジャー全30球団が一堂に会する大リーグのウインターミーティングが、米国時間9日から12日までサンディエゴで開催される。選手の去就交渉が行われる重要なイベント期間が、決断の目安になるとした。

指をくわえて見ているわけにはいかない。この日までに球団の渉外担当者が緊急渡米したことが判明した。すでに基本合意している新外国人ボアや契約更新が決まっているマルテ、ガルシアとの正式契約が主な目的。だが、それだけではない。同副社長は「ジョンソン、ドリスが流出する最悪の事態も考えてか」の問いに「それもありますね。両にらみですね」と答えた。

ウインターミーティングが終わると、来季所属先が決まっていない選手の去就に動きが出てくる。最悪の場合、保留者名簿から外れてFAとなったジョンソン、ドリスがダブル流出する非常事態もあり得る。一気に動き出すFA市場で有事に備えた代役を探すべく、渉外担当がこのタイミングで渡米する決断を下した。

すでに、メジャー通算92発のボアと基本合意に達している。さらに右の大砲獲得の調査も進める。ただ、投手ではジョンソン、ドリスの去就が未定のため、ロッテを退団するマイク・ボルシンガー投手(31)やソフトバンク退団のアリエル・ミランダ投手(30)、ロベルト・スアレス投手(28)ら、日本球界でプレー経験のある選手も含めて幅広く調査を進める。最悪のダブル流出となっても、的確な外国人助っ人を見つけ出し、うまくいけば一気に契約まで…。2年目矢野阪神の来季外国人構想が、大きなヤマ場を迎えている。【桝井聡】