ロッテのドラフト1位、佐々木朗希投手(18=大船渡)が2日、珍トレーニングに取り組んだ。石垣島キャンプ2日目は、マウンドと逆傾斜をつけた木製の台に乗り、ボールを人工芝にたたきつける投球練習を約20球行った。吉井理人投手コーチ(54)が日本ハム時代から行う独特の指導法に、高い理解力を示した。練習後は、初めてのメニューに戸惑いどころか「充実しています」と目を輝かせた。

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およそ15度ほどの角度がついた坂道は、マウンドと反対に傾いている。佐々木朗は逆傾斜に乗り、ボールを目の前の人工芝にたたきつけた。一見すると、どこにポイントがあるのか、理解しがたい図式だが、自分の言葉で的確に説明した。

佐々木朗 傾斜がある方が投げやすいです。逆傾斜がついていると、股関節を意識しないといけない。いい練習だと思いました。初めてです。これからも意識しながら続けていきたいです。(継続すれば)自然とそうなると思います。

吉井コーチが佐々木の練習後、報道陣に説明した。「逆に傾斜がついていますから、しっかり肘が上がらないと投げられません。皆さんもやってみて下さい」。しっかり左足に重心を乗せること、肘を上げることを意識させる目的があった。

吉井コーチは日本ハム時代、ダルビッシュ(現カブス)や大谷(現エンゼルス)の指導経験を持つ。だが「大谷、ダルビッシュはその段階になかったのでやってません」と、明確に答えた。完成度が高かった2人とは違い、このメニューは成長過程の佐々木朗にとって必須のトレーニングになる。

身体能力の高さは各種数値が証明しているが、体の強さはまだ確立されていない。そうした時期に、プロのキャンプで周囲のレベルの高さに目を奪われ、スピードや完成度を急いではならない。吉井コーチは何度も「意識させていません」と言い、あくまでも逆傾斜を利用することで、根本的なフォーム、体重移動が体に染みこむように配慮している。

練習の合間には志願して、ブルペンで石川の生の投球練習を見学した。両手をおなかの前で合わせ、行儀よく主力投手の投球を見る姿は、何でも吸収しようとする探求心にあふれていた。【井上真】