野球大好き18歳が、大人の階段を駆け上がる。楽天は8日、沖縄・金武1軍2次キャンプ(11日~)の参加メンバーを発表。ドラフト2位の黒川史陽内野手(18=智弁和歌山)が高卒新人では16年オコエ、18年西巻(現ロッテ)以来3人目のメンバー入りを果たした。当初は9日終了の久米島キャンプのみの1軍参加だったが高校通算34本塁打の打力でアピールに成功した。

曇り空に“御礼弾”を描いた。フリー打撃で打撃投手を相手に、28スイングで柵越え4本。「2球連続弾」「右中間防球ネット上段弾」「バックスクリーン弾」と魅了した。「18歳という若さで、力強い自分なりのスイングができたんじゃないかと思いました」と初々しく汗をぬぐった。

評価はうなぎのぼりだ。石井GMは「近い将来出てこられる可能性がある、というのを踏まえて総合的に判断して連れて行きたいなと思った」と素質を高く見込む。三木監督も「単純に野球が好きで練習熱心。うまくなりたい、先輩から盗みたいという気持ちがもろに出ている」と目を細める。実際、黒川は2日に翌日の特守をベテランの藤田と行うことを知ると「眠れなかったです」と心躍らせていた。

2次キャンプ中の実戦でも出場機会が与えられる予定だが、主力の調整も関わるためチャンスは多くない。ただ、無限の可能性を秘めるルーキーは開幕1軍へ「自分の最高の形はそこだと思う。目指していきたい」と甘んじるつもりはない。再びの“下克上”で未来を切り開く。【桑原幹久】