ソフトバンク期待の育成大砲・リチャード内野手(20)がオープン戦初戦となったオリックス戦(宮崎・清武)で推定130メートルの“場外弾”を放った。登録名を砂川からリチャードに改名して3戦連発。プロ3年目の若き大砲候補が「1軍デビュー戦」で鮮烈すぎる輝きを放った。

4打席目だった。2死走者なし。余裕もあった。打席に入ると、マウンドに立つ神戸に「お願いします」と頭を下げた。カウント2-1からの4球目。147キロの直球を迷いなく振り抜いた。打球はライナー性の中弾道。左翼芝生席上の土手の最上部に当たると奥の竹林に消えていった。「まぐれです。でもうれしかった。僕は育成なので、『これでもか』というくらい打たないといけないから」。神戸とは昨オフに台湾ウインター・リーグでチームメートだった。強烈すぎるアーチで同僚だった先輩に成長を見せつけた。

身長189センチ、体重115キロの巨漢も初打席は極度に緊張した。3回に巡ってきた先頭打席。マスク越しに若月から「足が震えているぞ」と言われた。それでも荒西の変化球を左前に運び初ヒット。大量5得点の口火を切った。「あのヒットがあったので楽になれた」と頭をかいた。

「砂川」から「リチャード」に改名した20日の紅白戦、22日の社会人・JR西日本との練習試合、そしてこの日の1発…。3戦連発の驚異的な活躍ぶり。20日には両親が持参した手作りの沖縄菓子サーターアンダギーを13個も平らげ、パワーの源? とした。

予想以上の猛打ぶりに首脳陣の評価も急上昇。森ヘッドコーチは「現場としては早く支配下(選手に)してもいいと思う」と言った。ホークスにまた新たな「育成の星」が誕生しつつある。【佐竹英治】