プロ野球の臨時12球団代表者会議が23日、オンラインで開催された。新型コロナウイルス感染拡大の影響で6月以降に延期となっているセ、パ両リーグの公式戦について協議。無観客で開幕する方針が示された。公式戦での無観客は史上初となる。

   ◇   ◇   ◇

プロ野球84年の歴史で、初めてスタンドからファンを奪われる。斉藤コミッショナーは3月9日の時点では「個人的な感覚だが最後の最後の選択、ほとんどありえないに近い」と無観客試合を評していた。だが新型コロナウイルスの感染状況は鈍化傾向も見られるが、医療崩壊の危機も叫ばれる苦境。最後の選択肢を専門家の提言を踏まえ「最初のうちは、無観客で開かざるを得ないと思う」と受け入れるしかなかった。

12球団から反対は出なかった。発症率に地域差があり、チーム、ファンともに移動を伴うプロ野球興行は感染リスクが高い。無観客は現実となった。球団経営のダメージは甚大だが「こういう暗い時こそ、国民スポーツである野球を何とかみなさんの家庭に届けたい気持ちはみんな強く持っている」と説いた。

開幕、有観客の切り替えに世論と行政の後押しが不可欠とされた。専門家メンバーの三鴨氏は「世論の動きも大事。地方自治体の都道府県知事との折衝も必要になる」と説明。今後は球団が自治体と連携を取り、開催への理解を求める。感染が緩和されれば、段階的にファンを球場に入れていく。賀来氏は「一例だが仙台でかなり抑えられたら観客は1/3から入っていただく。(開幕が)先行する韓国、台湾(プロ野球)の情報や、欧州サッカー、大リーグが再開された時の情報共有が必要」と話した。

4月下旬から5月上旬に開幕日を決める方針だった。斉藤コミッショナーは「全国に緊急事態宣言が発出している中で今日の時点で開幕日の設定は無理だろう。(5月の)連休明けぐらいに決めたい気持ちは強く持っている」と示した。現状では指針としている政府の専門家会議の日程次第だが、5月11日以降に開幕日を協議。早くても6月中旬以降の開幕になりそうだ。

だが緊急事態宣言下での試合実施は厳しく、専門家は5月6日以降の一斉解除の可能性も低いとした。「このウイルスはゼロにはならないだろう。緩和方向が見えてきた段階で前向きに取り組む」。好転の兆しを頼りに、今を耐え忍ぶ。【広重竜太郎】

<新型コロナウイルスを巡る経過>

◆2月21日 日本野球機構(NPB)と12球団が感染防止のために共通の対策実施を確認。

◆26日 臨時の12球団代表者会議でオープン戦の残り全72試合を無観客で実施すると決定。

◆3月3日 Jリーグと連携し「新型コロナウイルス対策連絡会議」を設置、第1回会合を開いた。

◆9日 第2回対策連絡会議で開幕延期の助言を受け、臨時の12球団代表者会議で延期を決定。

◆12日 開幕を4月10日以降とすると発表。

◆23日 12球団代表者会議で4月24日の開幕を目指すことを決定。

◆26日 阪神藤浪がPCR検査を受け、NPB球団所属選手初の陽性判定。

◆27日 阪神伊藤隼、長坂も感染が判明。

◆31日 パ・リーグ6球団が4月24日開幕を断念。

◆4月1日 楽天などで監督を務めた梨田昌孝氏が陽性判定。

◆3日 12球団代表者会議で24日の開幕を再々延期すると決定。

◆14日 元阪神ヘッドコーチの片岡篤史氏が感染をを公表。

◆17日 NPBが5月中の開幕を断念し、交流戦の開催中止を決定。