日本ハムのドラフト6位、JFE東日本・今川優馬外野手(23=東海大北海道)が4日、千葉県内の同社で大渕スカウト部長、高橋スカウトから指名あいさつを受けた。札幌市出身で、小学生の頃から日本ハムファン。ファンクラブ会員歴は14年で、入団後の来季以降、異例の“選手兼任ファン”を志願した。

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輝く瞳が一層、光った。目の前に用意された来季のファンクラブ限定グッズの数々に、今川はひときわ胸を高鳴らせた。「小笠原さんのフルスイングや、新庄さんのスター性をずっと見てきた」。札幌市出身で、小・中学生の頃は、多いシーズンで約30試合を現地観戦した。ファンクラブ会員歴14年で、来季継続へ「(球団から)許されるのであれば…」と“選手兼任ファン”の希望を口にした。

鮮明に覚えている試合がある。07年9月の札幌ドーム最終戦。ダルビッシュと楽天田中の白熱の投手戦を、内野席から見つめていた。「坪井選手が、打って…」。9回に坪井のサヨナラ打で、劇的な幕切れ。感動と興奮を味わい「そこを目標にしてきた」と、プロを志すきっかけにもなった。「子どもたちに夢を与えられるように。小笠原さんのような長打力でアピールしたい」と理想を描いた。

悔し涙を、うれし涙に変えた。大学時代にはドラフト候補ながら、指名漏れを経験。涙をこぼし、ここからさらにプロへの思いを強くした。武器の長打力に磨きを掛け、昨年の都市対抗野球では、若獅子賞を受賞。今年、悲願のドラフト指名を受けたのが意中の日本ハムだったこともあり、涙を流して喜んだ。

大渕スカウト部長は「ファイターズに入って、満足してもらったら困る。打撃技術は、新たな可能性を持っている」と能力の高さに期待を寄せる。今月22日には都市対抗野球1回戦(対三菱自動車倉敷オーシャンズ)を控えている。「お世話になった人に、恩返しが出来るように」と、最優秀選手賞にあたる橋戸賞を目標に掲げた。可能性を秘めた道産子が、焦がれた舞台で夢の続きを歩き出す。【田中彩友美】

◆今川優馬(いまがわ・ゆうま)1997年(平9)1月25日、札幌市生まれ。札幌南小3年時に山鼻イーグルスで野球を始める。札幌真駒内曙中-東海大四(現東海大札幌)で、高校3年時の夏に背番号16で甲子園に出場。2回戦の山形中央戦で代打出場し、石川直也(現日本ハム)から左安打を放つ。東海大北海道では3年春からベンチ入りし、大学通算25本塁打(公式戦12本)。JFE東日本では19年都市対抗で新人賞にあたる若獅子賞を獲得。社会人通算27発。家族は両親と弟4人と妹。右投げ右打ち。177センチ、87キロ。