上武大(関甲新学生)・ブライト健太外野手(4年=葛飾野)は、打球の行方を見届けてから走り始めた。

6-3の4回2死走者なし、カウント2-0から東農大北海道オホーツク(北海道学生)・笠間の145キロを目いっぱい、たたいた。すさまじいスピードで、ボールは左翼席中段まですっ飛んでいった。「ホームランを狙っていたので、当たった瞬間、いったと思いました。流れが止まった中、1点取れば、もう1度、うちに流れが来る。ホームランしかないと思って狙いました」。悠然と1周し、仲間の歓喜に迎えられた。

1回表、いきなり2点を失ったが、その裏の反撃も3番ブライトの一振りからだった。先頭から連続四球をもらったが、二塁走者がけん制で刺された。流れを失いかけたところで、左翼線に二塁打。左翼手がクッション処理に手間取る間、一塁走者が一気に生還。後も続き、この回3得点で、すぐに逆転した。

本塁打は今大会2本目だ。ここまでの3試合、4番、1番、3番と変幻自在に起用に応えている。好調の要因を問われ「ボール球に手を出さず、見逃せている。だから、有利なカウントにもっていって、甘い球を振ることができる」と分析した。大会前、谷口英規監督(51)から「テークバックの“割れ”を大きく取るように」言われたのがきっかけだった。歩きながらの素振りを繰り返し、打撃の間を取れるようになった。その結果、ボール球に手を出さずに済んでいる。

ブライトに引っ張られるように打線爆発。3本塁打を含む10安打を重ね、11得点。毎回安打、毎回得点で7回コールド勝ちした。4年ぶり4強進出で、次は東京6大学の慶大と戦う。ブライトは「今までと変わらず1戦必勝です。おごることなく、自分たちは弱いという自覚もあります。スキなく、1つ1つにこだわって勝っていきたい」と油断なく言った。その先に、13年以来の優勝がある。【古川真弥】