<センバツ高校野球:PL学園7-1関東第一>◇1987年4月4日◇決勝◇甲子園
「よくやった。お前ら本当によくやったよ」。小倉監督は準優勝メダルを首に下げて場内を一周する15人を目で追いながらこう叫んだ。そして行進を終えて三塁側ベンチ前に戻ってきた主将・田村の、エース平子の胸をたたきながら、満足そうにニッコリ笑った。
「やっぱりPLはすごかった。野球が違いますよ。すべてにうちより上でした」。特にPL学園の野球を思い知らされたのは、1―2の1点差で迎えた7回裏だったという。無死二、三塁のピンチからPL学園の4番・深瀬にスクイズを決められた。ベンチもバッテリーも「4番打者だったので全く警戒していなかった」。続く5番・橋本にも連続スクイズを決められ1―4。これで事実上の敗戦は決まった。小倉監督は「中村監督は違う、と思いました。僕ならあのケース、4番に期待しちゃってスクイズのサインは出せません。勝負に対する強弱のつけ方がうまいんですネ」。
この二つのスクイズでエース平子はガックリと気落ちした。初の3連投。右ひじの疲れのため張りがあった。「あのスクイズはショックだった。1点差でいけば何とかなると思っていただけに……」と平子は涙声で話した。
田村は、準優勝旗を握り締めて「監督さんの夢は全国制覇だったんです。夏にはこの悔しさをきっと晴らします」。もちろんナインも同じ気持ちだ。ナインは今日5日午後2時28分、東京駅着のひかり228号でガイ旋。3時30分から学校での祝賀会に臨むが、7日には東京都春季大会が待っている。「PLの、中身と幅のある野球を目指したい」と小倉監督は早くも新たな目標を掲げていた。【田村】



