16年ぶりのリーグ優勝を目指す阪神が2日、緊急トレードを敢行した。ソフトバンク二保旭投手(31)と阪神中谷将大外野手(28)の交換を発表。阪神は先発と中継ぎの二刀流が可能な実力派右腕を高評価し、17年に20本塁打した大砲候補の放出を決断した。二保は9連戦中の7日ヤクルト戦(神宮)の先発デビューが内定し、8月の五輪ブレーク後はセットアッパー候補に挙がる。チームは最下位広島に完敗し、きょう3日にも首位陥落の危機に立たされた。救世主の加入が待ち遠しい。

   ◇   ◇   ◇

阪神がシーズン折り返しで緊急トレードを敢行した。17年に20本塁打した大砲候補の中谷を放出してまで獲得したのが、ソフトバンク二保だ。背番号は34に決まった。

二保はこの日2軍降格したアルカンタラに代わり、7日のヤクルト戦でいきなり先発を任される見込み。矢野監督は「ヤクルト戦で先発にしようかなと思っている。ツーシーム系も両サイドもいけるし縦変化もある。経験も積んでいるし、ソフトバンクのレベルの高い投手陣の中で、今年もいいボールを投げているんで」と大きな期待を寄せた。

二保は今季、1軍では未勝利だが2度先発。2軍では11試合に登板(先発は10試合)して4勝1敗、防御率2・57と安定感を発揮してきた。前回6月30日の2軍中日戦(ナゴヤ)では8回1失点。そこから中6日での虎デビューとなる。矢野監督も評価するように、最近は動くクセ球で打たせて取るスタイルを確立。物怖じしない性格で、強気に制球よく打者を揺さぶる投球術も高い。19年から先発に転向し、昨年は開幕ローテーションにも入った。

二保自身も「また一からの出発だと思って頑張ろう、という前向きな気持ちです」と大きなチャンスととらえている。中継ぎとしても15年に44試合登板するなど経験豊富。矢野監督は「五輪の期間までは先発だと思っている。何でもできる」と五輪ブレーク後は、セットアッパーとして期待していることを明かした。

勝利の方程式の強化も急務だ。スアレス、岩崎へつなぐ救援が足りていない。岩貞が本調子ではなく、小林が6月に故障離脱。本来先発の藤浪、斎藤、2年目左腕及川らを試す状況が続いている。嶌村聡球団本部長(53)は「先発と中継ぎ両方できる非常に器用な投手。重宝するのではないか」と手応えを感じている。

今季13年目の二保は育成出身で、16年には右肘内側側副靱帯(じんたい)再建術を受け復活した苦労人でもある。「日本シリーズで投げるのを楽しみに頑張りたい」と恩返しを誓った。チームはナイターで広島に完敗し、きょう3日にも、開幕以来守り続けてきた首位陥落の危機に陥った。4年連続日本一軍団からやってくる、救世主の合流が待ち遠しい。【石橋隆雄】

◆二保旭(にほ・あきら)1990年5月18日、福岡県生まれ。九州国際大付から08年育成ドラフト2位でソフトバンク入団。4年目の7月に支配下登録され背番号「123」から「13」へ。15年は44試合登板。16年に右肘内側側副靱帯(じんたい)再建術を受け、18年に1軍復帰。19年からは主に先発として投げている。通算109試合、12勝11敗1セーブ、9ホールド。防御率4・32。182センチ、75キロ。右投げ右打ち。

【関連記事】阪神タイガースニュース一覧