阪神佐藤輝明内野手(22)がエキシビションマッチのロッテ戦(甲子園)で3本目のアーチをかけた。打球速度は165キロ。5回2死一塁。佐々木千の外角128キロのシンカーを右中間席へ運んだ。強い逆風の浜風もものともせず「感触はよかった」と手応え十分。構えた時に力を抜くことを意識していると明かし、「いつでも振り抜ける状態を作っておく」。五輪ブレーク中の新たな取り組みが、実を結びつつある。

守備では5月19日のヤクルト戦以来、約2カ月ぶりの三塁でスタメン出場。一塁大山との同時先発はオープン戦、公式戦通じて初で、逃げ切りVを目指す後半戦への新オプションが試された。矢野監督は「シーズン中でも起こり得ることは、エキシビションではやっていこうと」と説明。佐藤輝も「いつでもサードと言われてもいけるように準備しておきたい」と望むところだ。守備機会は7回の三邪飛のみだったが、「一塁大山、三塁佐藤輝」も後半戦の選択肢に加わった。

初回1死三塁の第1打席では二塁手が一、二塁間、遊撃手が二塁ベース右に構える「佐藤輝シフト」の前進守備を敷いてきた。それでもしっかり一ゴロを転がし、三走近本に先制ホームを踏ませた。指揮官は「走者三塁でかえせるプラスアルファを、より高めていくところに来ている」と状況に応じた打撃を評価した。

2つの空振り三振に課題は残るが、ロッテ戦3試合で3発7打点と勝負強さが際立つ。「試しているところはうまくいっていることが多い」。怪物ルーキー、進化の夏だ。【中野椋】

○…佐藤輝が母校の先輩メダリストを祝福した。東京五輪アーチェリー男子団体で銅メダルを獲得した古川高晴(36)は近大OBで現職員。野球部とアーチェリー部の練習場が隣で、年は離れていても身近な存在だった。「近大の先輩が銅メダル取ったのはすごいなと思う」と刺激をもらった。

▽阪神近本(3-3の5回1死二塁で決勝打となる中前タイムリー)「しっかり打席の中で集中できていました。得点圏で走者をかえす打撃ができてよかった」