熱パの火は消さない。オリックスが主砲の豪快アーチで日本ハムを撃破した。4回に4番杉本裕太郎外野手(30)がリーグトップを快走する決勝の32号3ランを放った。首位ながら前夜に自力優勝の可能性が消滅したが、25年ぶりのリーグ制覇へあきらめない姿勢を見せた。

左手でグッと握ったバットを高々と上げた。ラオウ杉本は、着弾前から確信歩きだった。「感触も完璧。今年1番の当たりでした!絶対に負けられない戦いだったので、いいところで打ててよかったです」。渾身(こんしん)の一撃だった。0-0の4回無死一、二塁。日本ハム立野の初球135キロを強振。豪快に左翼席上段へ決勝の32号3ランを放ち、本塁打キングを独走。「最近、皆さん一緒にやってくださるんですごくうれしい」。定着してきた「昇天ポーズ」。札幌ドームの右翼席に集まったファンとともに右拳を突き上げた。

試合を決める一振りは初球打ち。甘い誘いはこの日の午前中の大阪でも…。前夜はロッテに敗れ、自力優勝の可能性が消滅。札幌への当日移動で、同僚から「力水」をもらった。。伊丹空港のスターバックスで「ミヤビさん(松井)が、フラペチーノをおごってくれた。スタバ買おうと思ったら、ちょうどミヤビさんが注文してて『ラオウも一緒にええよ』って買ってくれました」。豪快なアーチを描く4番は少年のように笑った。

気になる注文商品は「エスプレッソアフォガートフラペチーノです!」と早口言葉のように説明。「飛行機に乗る前だったのでトールサイズ」と不敵な笑みを浮かべ、敵地に乗り込んだ。

ロッテはマジックを「8」に減らしたが、まだ首位だ。リーグ優勝の可能性は十分にある。杉本は「すごく今、野球が楽しい。プレッシャーもありますけど…。どうしようと考えても、いい結果は出ない。だから僕は楽しんでやろうかなと」と重圧につぶされることなく充実の表情を見せる。残り6試合も「全部勝てるように」と気持ちを込める。泣くか笑うなら…。ラオウには後者が似合う。【真柴健】

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