関西6大学野球の大経大が14日、大阪・茨木市内の同大学グラウンドで練習し、今秋ドラフト有力候補で最速151キロ右腕の才木海翔投手(3年=北海道栄)が「155キロ&ドラ1」を宣言した。雪が舞うなか、キレイな球筋で投げ込む。関西の大学球界のなかでも注目株の才木は言い切った。

「春のリーグ戦、シーズンに入ったとき、1発目の試合で155キロを出したい。寒いとか関係なしに投げたい。伸びるストレートをもっと伸ばして(ドラフト)1位を狙っています」

北海道栄(南北海道)でプレーした高校時代も複数球団が何度も視察する逸材だったが、プロ志望届を出さなかった。「甲子園に行けなかった。行っても、活躍できる体つきでもなかった」。当時の体重は60キロ。増量もテーマで、84キロまで増え、球威もアップした。強気に目標を公言するのは理由がある。「表に出すことで自分もやらないといけない責任感があります」と背筋を伸ばした。

大学球界に精通する関係者が「大経大の才木がいいと聞いている」と明かすなど、プロのスカウトの間でも才木の評価は高い。昨秋リーグは7試合に登板して2勝1敗、防御率0・74で最優秀防御率賞に輝いた。速球だけでなく、フォークの精度も高く、今春リーグ戦が好結果なら、一気に上位候補に浮上しそうだ。

「ドラフト当日、ドキドキして待つのではなくて堂々と、確実に選ばれる選手になれるようにしたい。この1年間はプロに入るのではなく、プロに入って活躍できる選手を目指してやっていこうと思っています」

これほど目線が高いのは理由がある。「友人には、藤原や小園もいる。プロ野球選手が身近にいる。そいつらに憧れているだけじゃ勝てない。逆に敵対視する感じです」。才木は大阪・豊中市出身。ロッテ藤原や広島小園が同い年で、違うチームだが中学生の頃から週1回、同じ球場で一緒に練習してきた。藤原を「とにかく野球に真面目。尊敬しています」と評する。藤原は隣の中学で当時から仲良しだったという。だからこそ、昨年、藤原が7、8月の月間MVPを獲得すると複雑な感情も芽生えた。

「とらせたくないです。中学校でも一緒にやったりしていた。地元でもある。仲がいいからこそ、コイツ、とってるなと思いつつ、オレが抑えたら、コイツらとられへんもんなと」

よきライバルへの強烈な反骨心も才木の持ち味だろう。元オリックスなどの山本和作監督(35)は「熱さはいいところ。冷静に自分を俯瞰(ふかん)して見られれば、もっとグッと上がってくる。真っすぐのキレは人より抜けている。春や秋の結果次第で上位で行ける」と評する。才木も「小さい頃から野球をしてきてストレートだけ磨いてきているのは誰にも負けない。(打者に)当てさせたくない」と言う。直球一筋に生きてきた剛腕は、チームの優勝とドラフト1位の頂点に挑む。【酒井俊作】

○…今秋ドラフト候補で大経大の山本健太朗捕手(3年=明石商)は武器の強肩を生かしてリーグ優勝を目指す。主将は今年の目標を「優勝して神宮に行くこと」と言い切った。昨秋は右鎖骨骨折で不出場。チームは春2位から4位に順位を落とした。「肩に自信があります」。元阪神などでコーチを務めた高代延博特別コーチ(67)に指導され、最速1・87秒の二塁送球はさらに安定した。同コーチも「高く立ち上がりすぎていた。(送球時に踏み込む)左膝が突っ立ったままだった」と説明した。