広島小園海斗内野手(21)の侍ジャパン入りが急浮上した。侍ジャパン栗山監督が3日、宮崎・日南で行われている広島のキャンプを視察。昨季遊撃の定位置を奪取した売り出し中の若手と初対面し、調整の進捗(しんちょく)を確認するなど気に掛けた。さらに「球界にとっての宝物」と評価し、3月に台湾代表と戦う強化試合のメンバー入りを予感させた。

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栗山監督はティー打撃を行っていた小園を手招きした。グータッチで初対面のあいさつをすると、「体調はどう?」など熱く声を掛けた。昨年遊撃の定位置をつかみ、113試合出場でリーグ8位の打率2割9分8厘に5本塁打、35打点と飛躍した21歳。侍ジャパンの指揮官として「守りが重要と言われるポジション(を守り)、なおかつ攻撃力もある選手はなかなか出てこない。そういう素材は日本の球界にとって宝物」と期待を込めて評価した。

3月の台湾代表との強化試合は若手主体のメンバーで臨む方針を示しており、その候補の1人となってくる。栗山監督とこぶしを重ね、小園は緊張気味に口を開いた。「トップチームとなると本当に重圧がかかると思う。日本の野球ファンがみんな見ていると思うので、そういうところで自分もできたらというのは思う」。最後に日の丸のユニホームを着たのは、報徳学園3年時のU18アジア選手権。4年ぶりの選出へ意欲は高まった。佐々岡監督も「そういうところ(日本代表)に入って経験すれば、小園本人にとってプラスになる。候補に入ってくるだろうしね」と願った。

ただ、今の立ち位置は小園自身が一番理解している。レギュラーを勝ち取ったとはいえ、代表には「全く入れるとも思ってないし、まだまだだなと感じている」。昨夏の東京五輪の遊撃手は西武源田や巨人坂本らが選ばれており、「手に届かない。全然相手にもならないと思う」と、今は大きな背中を後方から見つめている。

この日行われたフリー打撃では打撃投手を務めた中崎から、17スイングで安打性の当たりは5本。栗山監督も打撃ケージの外から見つめる中、仕上がりの良好さをにじませた。「順調にきてます。しんどいですけど、意識高くショートとして1年間戦える体づくりをしたい」。昨季のブレークをプロ4年目につなげられるか。侍入りするその日まで、小園の鍛錬はまだまだ続く。【前山慎治】