4番が高津臣吾監督(53)の復帰に花を添えた。ヤクルト村上宗隆内野手(22)は2点リードの7回2死一、二塁。初対戦だった巨人クロールの外角直球を右中間席中段まで飛ばした。

直前に並木のセーフティースクイズ失敗があった。「このままいくと流れ的にも厳しい展開になる。何とかカバーしたい」。会心の32号3ランは「完璧」な手応えで、2連勝を引き寄せた。

9日に新型コロナ陽性となった高津監督が、この日からベンチに戻った。指揮官不在となったチームは13日から5連敗。監督はこの間2度、村上に連絡した。普段は弱音を吐かない若武者が電話越しに本音をこぼした。「僕は打てなくてもいい。ただチームが勝てないのがしんどいです」。

高津監督は思いやりつつも背中を押した。「大変だろうけど引っ張れ。それがお前の仕事の一部だ」。主力では山田、青木、塩見が練習に復帰したが、出場登録はまだ先になる。そんな中、4打点で応えた。

昨季日本一に上り詰めたとはいえ、その前は2年連続最下位だった。村上は言う。「2年前、苦しい試合をずっと続けてきて勝つことが当たり前じゃなかった。今、勝つ喜びをあらためて実感できることが幸せです」。谷を越えて、また上昇気流に乗る。【鎌田良美】

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