西武の西川愛也外野手(25)が7回、奥村の代打に送られた。
いつもの光景のようで、ちょっと違う雰囲気をまとっていた。
「そうですね…まぁ、ほんと…ラストチャンス、というのはあれかもしれないですけど、ほんとにこの1打席、マジで大事だなと思って」
あっさりと2球で追い込まれながら、3球の外角低め直球に腕を伸ばし、センター前に転がした。
試合前、巨人から移籍してきた松原聖弥外野手(29)が全員の前であいさつした。ユーモアを交えながら。明るい西川も、呼応するように笑っていた。
でも野球選手としては。「同じようなタイプの人なので。なんなら僕よりほんとに実績もありますし、今の感じで僕使うなら松原さん使うだろうし、っていうのをすごく考えて」。
花咲徳栄(埼玉)で甲子園を制し、ドラフト2位で入団。しかし6年間でレギュラーをつかみきれず、明らかに勝負の年を迎えている。立場は最初から分かっている。2月のキャンプで、こう話していた。
「今年ダメだったら、きっと外野手の補強もあると思うので」
春になり、渡辺GMが青学大・西川を評価する報道も紙面やネットにあふれた。育成ルーキーの奥村が支配下登録され、さらに松原を獲得した。それらの事実は、今いる外野手たちにとって極めて“雄弁”だ。
「周りが、っていうより僕がやっぱり結果を残していればいいだけの話だったので。自分に、なんていうんすか、腹が立って。何してんの? みたいな。そういうのをすごく。でも継続っていうか、試合後とか打ちに行ったりして、やるべきことはしっかりやってきてると思うので。それをいかに、苦しい時にも変えずにいい時のようにできるか」
悩み、もがきながら1軍に食らいつく。1番センターを任された試合もあった。「うれしかったっすね、ほんと」。声色に思いがこもる。「開幕してから初めてだったので」。ずっとそこを目指している。
だからこそ、松原の加入にもおびえるわけにはいかない。「よりいっそう、自分への、なんて言うんですか、ムチのように感じました」。
渡辺GM兼監督代行は松原を獲得し、すぐには松原を1軍起用しなかった。そこにも“行間”を感じる。西川はそれを敏感にくみとり、重圧の中でしっかりと結果を見せた。
「これからもチャンスをいただけるのであれば、必死に、やってきたことをただ出すだけです」
これもまた、トレードが生み出すもの。結果を出し続けた選手が、プロ野球界で生き残る。【金子真仁】



