「甲子園の申し子」がバットで後輩を祝福した。阪神前川右京外野手(21)が母校の智弁学園(奈良)が2年連続22度目の夏の甲子園出場を決めたこの日、一時勝ち越しの中前タイムリーを放った。
出番は代打からだった。1-1の6回。無死一、三塁で中日の2番手岩崎に3ボールからファウルで食らいつき、6球目。「チャンスの場面だったんで、なんとかランナーかえせたら」と148キロ低めのフォークをすくい上げ、中前にはじき返した。
今季の代打打率は2割9分4厘と勝負強さが光る。前日27日には7回の打席でフルスイングした直後に足がつり両脇を抱えられて途中交代。それでも一夜明ければ何のその。高校時代から変わらぬガッツマンは、この日も勝利に貢献する一打を響かせた。
試合開始前、後輩たちの熱戦に手に汗握った。正午過ぎの奈良大会決勝。智弁学園は序盤に5点のリードを奪うも、8回に奈良大付に1点差に迫られた。それでも逃げ切り、歓喜の輪ができると、前川の頬も緩んだ。「うれしいですね。差し入れは(村上)頌樹さんと(小坂)監督と相談して決めます。今は忙しいと思うので、夕方くらいに(小坂監督に)LINEできたらなと思います」と気遣いもみせ、モチベーションを高めて“職場”へと向かった。
高校時代は春夏通じて3度甲子園に出場し、3年夏にはチームを準優勝に導いた。あれから3年。23日の小坂将商監督の47歳の誕生日には「お誕生日おめでとうございます」と連絡し、「ありがとう。頑張れよ」とエールを受けた。今季も開幕前に1軍を報告するなど、節目には恩師への連絡を欠かさない。母校のV記念日に、最高の活躍でチームを祝うことができた。
30日からの巨人戦へ「3連勝できたのでもう1回きちんと入っていけたら」と再び気合を入れた。甲子園100周年のメモリアルデーも打ちまくり、本大会に挑む智弁学園をさらに勢いづける。【村松万里子】
◆高校時代の前川と甲子園 19年智弁学園1年夏、21年3年春夏の計3大会に出場した。3年夏は正左翼手として、1番または3番で全6試合に先発。2回戦横浜(神奈川)戦、そして智弁対決となった決勝の智弁和歌山戦で3安打を放つなど存在感を示し、準優勝に貢献した。甲子園通算成績は10試合で打率3割7分8厘。最後の夏は22打数10安打で打率4割5分5厘、本塁打も2本放った。



