巨人がエースの完封劇で首位広島に1ゲーム差に迫った。先発の戸郷翔征投手(24)が9回5安打無失点、118球を投げ抜いた。1点リードの7回無死満塁では走者一掃の左前適時打で相手の失策も誘い、一挙5点のビッグイニングを演出。7月5日以来、約1カ月ぶりの勝利となる8勝目をマークした。
押すか、引くか。戸郷は2回2死一、三塁のピンチでうまく広島会沢のタイミングを外した。130キロスライダーで中飛に仕留めた。「変化球が効くのは真っすぐがあるから。首位との戦いは引き際も大事ですし、攻めどころも難しい。卓三さんによく引き出してもらった」とバッテリーを組んだ大城卓に感謝。1回先頭の秋山は、内角の直球3球で空振り三振。直球を意識させつつ、変化球を効果的に織り交ぜた。
8回の後、阿部監督から交代するか問われた。次回登板は14日阪神戦の中5日となる可能性もあるが、中継ぎ陣の負担を少しでも減らすため続投を志願。ノーヒットノーランだった5月24日阪神戦以来、今季2度目の完封だ。
パリ五輪ではテレビ画面を通じて、他のアスリートの勝負師としての駆け引きに見入っている。「僕らも多少、同じプレッシャーで戦っている。何か得られるものがある」。メダルラッシュにわいたフェンシングでは一瞬の判断、動きを脳裏に焼き付けた。「勝負勘だったり、駆け引きがたくさんある。出るのか下がるのかとかは、戦術だと思う。そういうのは見るように」。競技の枠を超え、感じるものがある。
淡々と表情を変えず投げていたが、打撃では7回、1点の援護を受け、なおも無死満塁で大瀬良の高め138キロのカットボールをはじき返した。外野で大きく弾んだ打球を左翼手が後逸する間に三塁まで激走し、スライディング。「走り過ぎて、最後は足がつりそうでした」と“走者一掃”の適時打になった。
試合開始の1時間18分前だった。宮崎・日向灘を震源とする地震が発生したことをテレビで知った。出身の宮崎・都城市も震度5強と大きく揺れた。「みんなの無事を祈ることしかできないですけど、多少でも勇気づけになれば一番」。より故郷を思いながら、投打で輝いた。【上田悠太】



