不完全ながらの、完全投球だった。阪神藤川球児投手(29)が25日、高知・安芸キャンプの紅白戦で、今季初の実戦マウンドに立った。3回から白組の2番手で登場し、1回を8球すべて直球で3者凡退に片付けた。09年WBC以来となる城島との豪華バッテリー。相手は新井、ブラゼル、桜井という主軸。「今日はキャッチボールから悪かった」と言いながらも、チーム切っての長距離砲に一切、力負けすることはなかった。

 圧巻は1死走者なし、4番ブラゼルへの初球だった。グシャッという音とともに、ブラゼルのバットは粉々に砕け散った。内角低めの直球だったが、インパクトの前にわずかながら内側へカットボール気味に入った。今年は「もう1度、自分の中でストレートにこだわっていきたい」とテーマを掲げている。伸び上がるような、スピンが効いた直球ではなかったが、威力のほどが際立った。

 “火の玉直球”も健在だ。3番新井はたたきつけるような直球で二飛。最速は144キロ。5番桜井も右飛に打ち取ると、つばを軽くさわって、こくりと女房役の城島に頭を下げた。

 昨年はWBCを目標に、急ピッチで肩を作り上げた。真弓監督は「今年は段階を踏んで、上げてきている。安心して、見ていられる」と、順調な調整ぶりに全幅の信頼を置く。次回は、27、28日のオープン戦・オリックス戦(安芸、春野)で凱旋(がいせん)登板することが濃厚。「反省して、頑張ります」。勝ちゲームの最後を締めくくる守護神と、城島の初顔合わせに10年への期待感がグッと膨らんだ。

 [2010年2月26日11時35分

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